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それでいて 、彼は狡い
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「今日な 、章ちゃんがAとデートしたね〜んって自慢してきはったんやけど、本間？」
「うん 、章ちゃんにお買い物付き合ってもらっただけだけどね」
「そっか ... 楽しかったん？」
「うん！ だってね、章ちゃんその時 ... んっ」
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いきなり唇を重ねてきた彼は
何処か苦しそうで
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「... 章ちゃん章ちゃんうっさいねん」
「ちょっ、隆...平、くっ ......ん」
「Aちゃんは俺だけを見ててな？」
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隆平くんは私だけを見ててくれないけれど
私には貴方しか見せてくれない
そんな狡さも 乱暴なキスも
曇りのない笑顔で
独占欲の塊の様なセリフを言われてしまうと
憎めない
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「おやすみ 、明日は早く帰るから 」
そう言った彼は私のおでこにチュッと唇を落とすと
それが合図かの様に私は睡魔に襲われた
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ただ 、深い眠りにつく前に
御免な と彼の言葉が聞こえてしまい
たったその一言で胸が締め付けられた
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ねえ 隆平くん
貴方の愛は本物なのかな
出会った頃に好きだった貴方の優しさも今では苦しくて
そんななら優しくなくたっていいから
私だけに愛を注いでくれないかな
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なんて 、嘘...にするから
明日からまた何も気付いてない鈍感な女になるから
嘘で塗り固められた
優しい愛で満たしてね
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作者名：田中 。 | 作成日時：2017年7月23日 0時
