愛のかたち。2【松野千冬】

60 ページ13

.









武道side









何とかAちゃんを家から出さないっていうミッションはクリアした









というかやっぱりマイキーくんたちはAちゃんに過保護すぎるきらいがあるよな









そのおかげで今回はAちゃんが確実に家に居る事が出来るから良いのだけれど









武｢...あれ？でも、それじゃあ俺がわざわざ行かなくても家から出なかったってことじゃん。｣









家に誰かが来て玄関のドアを開けて連れ去られるとか？いや、さっき千冬が居留守しろって言って本人もそうするって言ってたから違う









じゃあ、窓を割られて無理やり家に入られて拉致られた...？いや、違う









そもそも直人ははっきり“外出中に”って言ってた
...彼女は何らかの理由で家の外に出るってことか？









その考えに思い至った俺は、身体中からどっと汗が吹き出して鼓動がはやくなった









嘘だろ。もしそうだとしたら、今頃すでにAちゃんは...









行かなきゃ。俺が、彼女のことを助けに









絶対に助けるって、そのために今俺は此処に居るんだ
でも何処に？何処に居るかなんて検討もつかない









無い頭を必死に働かせながら考えていると、急に肩に手を置かれた









千｢おい、タケミっち。顔真っ青だぞ。大丈夫かよ？｣









振り向くと俺を心配している千冬と目が合う









ああ、千冬









ごめん、俺、お前の大切な人を守ってやれないかもしれない









ただ家を出るなって伝えただけで助けた気になっていた









そんな訳ないのに。未来を変えるという事がそんなに簡単なはずがないのに









武｢千冬、ごめん。俺、行かなきゃ...｣









千｢は？おい、どこ行くんだよ！タケミっち！｣









千冬の焦った声を聞きながらひたすら走って抗争の場を後にした









抗争を抜け出すなんて最悪だ。後で三ツ谷にたくさん叱られそうだ。場地くんと一虎くんには殴られるだろう









でも、それでも









俺がやらなきゃ。俺がAちゃんを助けないと









今度こそ絶対に助けるんだ









.

61→←59

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す