愛のかたち。【松野千冬】 (ページ29)

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『今、楽にしてあげる。一緒に逝こう？』

目の前の意識がない叔父に、優しく声を掛ける

そして、赤黒い血がべったりと付着しているナイフを高く振り上げた

万｢させねぇよ。｣

振り上げていた手首をそのまま強い力で掴まれた

まさかそんな事をされると思っていなくて、驚いて顔を上げた

『...マイキー痛いよ、離して。』

万｢お前がコレ離せよ。女が物騒な真似すんな。｣

『マイキーには関係ない。さっき言ったでしょ。もう私を楽にしてよ。』

万｢そんな泣きそうな顔で言われて、はいそうですかって言うわけねぇだろ。｣

『っ...！』

泣きそう？私が？

万｢言ったろ？“お前のことは俺らがぜってぇ守ってやる”って。｣

優しく笑う目の前の彼と、まだ背も小さくて髪も短かった昔の彼が重なった

『なん、で......？』

私と目線を合わせるようにしゃがみ込んで

万｢顔見りゃわかる。俺はお前の兄貴みたいなモンだかんな！｣

私の腕を掴む手とは反対の手で私の頭を優しく撫でて

万｢だからさ、A。｣

とびきり優しい目で私を見つめた

万｢“助けて”って言えよ。俺が絶っ対ェ助けてやる。｣

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