愛のかたち。【松野千冬】 (ページ20)

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『え......？』

頭を鈍器で殴られたような感覚とはまさにこの事を指すのだと思う
私が、おばあちゃんを殺した？

『なに、言ってるの...？』

身体中の震えが止まらない

叔父｢Aが勝手に家を出ておばあちゃんの家に来なければ死なずに済んだのに。｣

私が逃げたから
おばあちゃんに助けを求めてしまったから
だからおばあちゃんは死ななければいけなかったと言うの？

『......待って。おばあちゃん“たち”って何...？』

お父さんとお母さんは私が6年生の時に事故で、そしてその後すぐにおじいちゃんは病気になって、半年程でこの世を去ったのだと聞かされていた

叔父｢Aの父親と母親は馬鹿だったよ。Aと暮らしたいから譲ってくれって君が3歳の時からずっと頼んでいたのに、全然了承してくれなかった。だから、君が6年生の時に排除したんだよ。｣

なにを、言っているのだろう

聞きたいことは山程あるのに、私の口からは乾いた息がヒューヒューと音を立てて吐き出されるだけだった

心臓の音が、耳元で聴こえる

叔父｢それでやっと君と2人きりで生活できると思っていたのに、爺さんたちが引き取るとか言い出したんだ。あいつらも消そうかと思ったけど、爺さんを薬で病気に見せかけてじっくり痛ぶって、婆さんに看病させることにした。｣

もう、やめて
こんなこと、聞きたくない
知りたくなかった

目の前の男は、とても嬉しそうだ

恐ろしいことを口にしているはずなのに、その表情はとても穏やかに見える

月の光に照らされて笑っている男は愛おしいものに触れるように優しく、私の頬に手を添えて溢れ出して止まらない涙を掬った

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