こっち向いて、私を見て【九井一】

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「待って！無理無理！」



両手で顔を押さえて悶絶する。
万次郎が「見てよ場地、Aがキモい」と言ってくるから思いっきり叩けば、お返しに拳が飛んできて痛かった。



「九井くんが名前で呼んでくれた上にしてもいない約束を……！！」



イヌピーの家の時から思ってたけど、どうしたの九井くん。こんな大サービス私求めてなかった。いや求めてたけど。


万次郎が何やらどこかの暴走族とやりあうのに話をしている中、圭介の隣で「無理だよどうしよう圭介ぇ！」と回答を求めれば「うるせぇぞ！A！」とドラケンに怒鳴られた。怖い。



「場地！てめぇ、A黙らせとけ」

「ワカッタ」



両頬掴まれて、むにゅとタコ顔になる。

圭介は「九井九井うるせぇよ」と低い声でいい、近づいた。その場にいる皆が驚いたことだろう。圭介の隣にいる千冬くんは手で目を覆いつつも指と指の隙間から覗いている。


2回目。これってサードキスっていうのかな。

いや、そうじゃなくって。コイツはこの前好きだから一方的にキスするなって怒ったばっかりだっていうのに。


またキスしてきやがった。



「ちょ……、圭介何して……みんな見て……！」

「うるせぇから口塞いでんだよ」

「…………んんんんっ」



必死に抵抗していると圭介がいきなり離れた。かと思えば、圭介が殴られた。目をかっ開き驚く私は次の瞬間担がれる。今日だけで私何回担がれたらいいわけ。私は米俵じゃないんですが。



「こ、九井くん？！」

「……………」

「今日たくさんの"いきなり"が多すぎて大混乱なんですけど！」



殴られたことにブチギレる圭介を他所に九井くんはスタスタと武蔵神社の階段を降りて行く。私担いで普通に降りれるってすごくない？


それよりも、



「なにこれ王子様みたい！！！」



一緒についてくるイヌピーに「九井くんって王子様？？」と尋ねると「ココはココだ」と言われた。



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