こっち向いて、私を見て【九井一】

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「万次郎！圭介！あ、ドラケンと三ツ谷も」



佐野家を訪ねると今日も仲良く創立メンバー数人がいた。ドラッグストアで買ってきたピアッサーを袋から取り出して「ピアス開けてほしくって！」と差し出せば「は？」と返される。



「お前今まで怖い怖い言ってたじゃん」

「いや〜最近オシャレだなぁって思いまして」

「どうせ九井だろ」

「バレた？」



九井くんと同じようにピアス開けたろと言うのが本心である。俺が開けてあげる♡と笑顔の万次郎ではなく、ピアッサーを圭介に渡す。


万次郎だなんて冗談じゃない。変なところに開けそうだし失敗されそう。それになんか安全性に欠ける。



「ドラケンでも三ツ谷でもいいんだけど、ここは長年の信頼における場地圭介を激選させてもらった」



万次郎が圭介をツンツンと突き、圭介は「やめろ！」とすごい嫌そうな顔をする。「え、ダメ？」と聞いてみるとそんなことないと即答された。


よしよし、では開けてちょうだいと笑えば万次郎とドラケン、三ツ谷が立ち上がる。コンビニに行くって。



「万次郎、私リンゴジュース飲みたい」

「は？誰に頼んでんの？」

「……三ツ谷かドラケンお願い出来る？」



「あぁわかった」と苦笑いを浮かべて万次郎の部屋から出て行った三人。少し不貞腐れ気味の圭介に「ごめんね変なことばっかり頼んじゃって」と謝りながら箱からピアッサーを取り出した。


赤音さんはピアス開けてなかったんだって。
私、赤音さんと似てないって言われたいがために自分変えすぎだなって笑っちゃうよ。



「痛いかな？」

「他の奴らは安全ピンで開けてたから痛がってたな」

「圭介、痛くならように開けてね」

「おー、任せろ」



開ける位置を圭介と一緒に決めて、「おし、開けるぜ」の一言に目を強く瞑った。少しして、口に当たる別の何かに目を開ける。ガチャンッと耳たぶに貫通したピアスの痛みよりも、目の前にいる二つも年下の圭介にキスされていることに私は驚いた。



「…………何してんの？」

「………ちゅ、チューした」



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