こっち向いて、私を見て【九井一】

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武蔵神社の階段を降りていく。
九井くんはイヌピーと話がしたいって上に残った。
リズミカルに降りていけば、そこにはケースケと万次郎がいた。



「あれ、どうしたの二人とも」

「お前待ってたんだよ」

「おぉ、留年場地圭介のくせにしてかっこいいこというね〜」



ツンツンとケースケの腕を突けばやめろよ！と怒られる。相変わらず子供だなとクスクスと笑っていると「場地さん！」とケースケの腹心の子が走ってきた。二人が話している間、私は万次郎の愛機に跨った。



「万次郎、乗せて帰ってよ」

「えー、やだよA重いし」

「は？乗せて帰れよ私を」

「今日は場地が送ってくれるってさー」



その言葉を耳にしたケースケが「は！何言ってんだマイキー！！」という。ケースケ優しいね、と断りもなく甘えて、ゴキの後ろに跨った。


千冬くんだっけ？と彼の腹心に首を傾げれば「いつも場地さんから話は聞いてます！場地さんが言う通り可愛いっすね」と褒められた。



「やだなぁ千冬くんも可愛いよ〜」

「おい！A帰んぞ！！」



ケースケの怒鳴り声に「そんな怒らないの圭介くん♡」と彼の前に腕を回してしっかりと掴まる。じゃあね万次郎とみんなに手を振ると、ゴキが走り出す。



「なぁA」

「どうしたの？」

「…………また可愛くなったな」



ケースケはハロウィンの日に一度死にかけた。

一虎という友達に刺された上に、自分でまた刺したという馬鹿なことをしてしまったがなんとか一命を取り留め、今はピンピンに走り回っている。あの時はすっごい焦って、目を覚ました時はわんわん泣いたな、千冬くんと。



「ケースケはかっこよくなったね。髪の毛切ってどうしたの？」

「………あの日のケジメ」

「そっか〜。でも可愛いは、好きな子に言ってあげなよ」



私じゃなくてさ！と声をかける。

ケースケは何か小さな声で言っていたが、何を言っているのか全然聞こえなくて「もっかい言って」と聞き返すけれど、「落とすぞ馬鹿女」と荒すぎる運転をした。

怖すぎてケースケに必死にしがみつけば「マイキーの言う通り胸デカくなった？」と聞かれたので背中を殴っておいた。





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「ーーーその好きな女に言ってんだよ」




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