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「私は佐野Aだよ」



ムカつくんだ。

顔も声も瞳も全てが同じで。まるで赤音さんと双子みてぇで。中身は全く別人だってわかっているのに、赤音さんが他の男と楽しく会話しているように感じて勝手に嫉妬して。馬鹿みてぇに本人じゃないのに当たった。


赤音さんが亡くなってからというものの、彼女と似ているイヌピーが何度も赤音さんに見えた。寝ているイヌピーにキスをしたり、自分でも馬鹿なぐらい乾赤音という女に囚われている。


目の前にいるのは赤音さんじゃないってわかっているのに、どうしようもなく欲しくなる。



「九井くん、私を赤音さんとして見るんじゃなくて、佐野Aとして見てほしいな」



生まれつきの顔に対して勝手にブチギレたっていうのに、目の前の佐野Aは怒らずに俺に視線をずっと合わせていた。


何か文句の一つぐらい言ったって佐野Aはなんも悪くねぇのに、言われた言葉に唖然とするしかなかった。



「何言ってんだよ」

「私、一途な九井くんが欲しくなっちゃった」

「………は?」



何が"一途な九井くん"だ。
ただただ何年も前に亡くなった初恋の人を忘れられずに何年も引きずってるような男なのに。


マイキーが言っていた。コイツは見た目が良い割に、中身が残念だと。こんな俺が欲しくなるなんて言い出すぐらいだから、本当のことなんだろう。



「……お前変わってるな」

「うん、よく言われる!」

「自分が言ってることわかってんのかよ」

「わかってるよそりゃー。何年も初恋引きずってる男の子に、あなたが欲しいです!なんて告白するぐらいだし」



あははは!と大きな笑い声。

その姿は、赤音さんとは全く異なった。赤音さんはそんな風に下品に笑わねぇし。それを言えば、佐野Aは「面白い時は思いっきり笑って、泣きたい時は思いっきりなく、それが一番でしょ」と。



「九井一くん」

「………なんだよ」

「明日から私は君に猛烈アタックをしかけます」

「……………」

「私のことは赤音さんじゃなくて、佐野Aとしてちゃんと見てね!」



顔も、髪型も、瞳も、顔の作りがまるで姉妹のように同じ。しかも声まで同じ。けれど、赤音さんとは全く別人の女はニカっと歯に噛んでそう宣言した。



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ちえ - 私の最推しのイヌココが出た時はギャーギャー叫ばすにはいられませんでした (2021年11月2日 18時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - 更新ありがとうございます!!!あああもう好きっっ (2021年10月12日 23時) (レス) @page37 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
チョコプリン(プロフ) - 更新ありがとうございますぅぅやばいです!ようやくデレ九井くん登場でドキドキが止まらないのともう場地さぁぁぁんって気持ちで溢れて続きが気になりすぎます!!!、 (2021年10月12日 22時) (レス) @page37 id: e53e09d499 (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - 場地さんんん切ねぇ😭更新お疲れ様です! (2021年10月9日 22時) (レス) @page27 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)
ATR214YS(プロフ) - うわぁめちゃくちゃ続き気になるっ更新お疲れ様です! (2021年10月9日 17時) (レス) @page25 id: 5cda5f5352 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美桜 | 作成日時:2021年10月3日 14時

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