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初恋って叶わないものらしい。
まあ別に今の俺にとって、アイツがそばにいたらいろいろと厄介だったからいいけど。
「竜胆、オムライス食べたい」
「兄貴、いい加減自分で作れよ」
ツンケツンケしてさ、昔の方がまだ可愛げあったのに。今じゃ飯を喜んで作ってくれるアイツもそばにいない。
「出掛けてこよ」
「捕まるなよ」
「え〜竜胆、お兄ちゃんのこと心配してくれんの？」
「きめぇ」と言われ、やれやれとアジトを出て行く。
梵天、今や日本最大犯罪組織だ。ソファーに寝転ぶ竜胆はボーッと携帯を見ていた。何見てんだろと覗き込めば、制服に身を包む女。俺たちの幼馴染だ。
あの抗争の前日、何があったのかは知らないけれど未だに竜胆はAのこと好きなんだろうなっててのはわかる。じゃなきゃ今もそうやって写真見て思い出そうとしたりしないっしょ。
「蘭ちゃん出掛けてくる〜」
「……………」
夜に行動するのが当たり前なだけに、昼間の光はあんまり慣れない。眩しいな、と目を細めて海を眺めながら歩いていると、ベンチに座る一人の女がいた。
どことなく似ているから誘ってみようかなー、そう思って「そこのオネーサン」と声をかけると俺を見上げたその瞳と目があった。
「………え、A？」
夏の暑い季節。
不釣り合いなガーディガン。顔にある大きな痣、そしてデコルテ付近に無数にある赤く腫れた痕。
昔の彼女はいつも俺を見て「蘭ちゃん！」と笑ってくれていた。なのに、笑顔一つない。首領のようにハイライトのない目だ。
「…………蘭、ちゃん？」
痩せたのか、前よりもかなり細くなったAが小さく俺の名前を呼んだ。
彼女の前に屈んで「なにこの痣」と聞けば、手に握っていたワッペンのようなものを握りしめた。左手の薬指には指輪が嵌っていて、結婚しているのだと悟る。しかし、右手には俺が18の誕生日にあげたブレスレットと、多分竜胆があげたであろう指輪が。
「……蘭ちゃん、私、死にたい」
幸せになっていると思った。なのに幸せとは真逆の人生を彼女は歩んでいた。
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推しが尊い - 控えめに言って最高。ガチ拝みます。 そして涙腺崩壊したんだが。主大好きです！これからも愛読します！ (2021年11月24日 1時) (
レス) id: 11fe216a38 (このIDを非表示/違反報告)
お米。(プロフ) - コメント失礼します！めっちゃ感動しました！純愛で初恋、最高です！ (2021年10月20日 21時) (レス) @page46 id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
みつば(プロフ) - 読ませていただきました！竜胆が今後どうなるかドキドキです！更新楽しみに待ってます😊 (2021年9月24日 0時) (レス) @page8 id: b05da2f35a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美桜
| 作成日時：2021年9月23日 14時
