おはよう、愛しい人【不死川実弥】

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ーーー変な女だ。


初め、見たときこんな弱そうな奴と一緒に任務なのかと思った。正直、柱以外の一般剣士との任務なんて行きたくはなかった。皆、俺を怖がり、挙句途中で任務を放棄して逃げやがる。



コイツもそんな一人に過ぎねぇと思っていた。

初対面で早速俺を見ては震えていた小さな体のコイツと共に無言で村にやってきた。日中は鬼の活動はないから、探索から少し早めに戻ってきてガキ共の相手をしてやっていた。


弟たちがいたから、ガキの面倒は見慣れていた。

楽しそうにはしゃぐガキ共を見て、この笑顔を守るためにこの村に潜む鬼を殺さねばならないと何度も思う。


ガキの一人に嵌められ、尻餅をついた俺を笑う女。
そして、笑ったかと思えば、「優しい人」なんて変なことを言う。そんなふうに言ってきたのはコイツが初めてだった。


夜になり、村の警備をするが鬼は現れない。

朝方になり、泊めさせてくれる屋敷に戻り借りた一室で仮眠を取る。目を覚ませば、すでに女は起きていて、俺を見ると「おはようございます」と微笑んだ。



「…………あァ、」

「不死川さんって寝顔可愛いですね」

「は……？」

「綺麗な顔で寝てるなぁって思って……」



やっぱり変な女だ。

支度を終えた女と共に廊下を歩いていると、昨日のガキ共が走ってやってくる。「おはよう」とガキに背丈を合わせて言う女もきっと子供の扱いに慣れているのだろう。



「"おはよう"って良いですよね」

「なんだァいきなり」

「毎日、"おはよう"って朝を迎えられることが幸せだなぁって私思うんです」



ーーーやっぱり変な女だ。



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