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ある日の昼下がり。
おはぎを買いに出かけ、街を歩いていると走ってきた餓鬼が俺に突撃して尻餅をついた。
「………悪ィ、大丈夫かァ?」
「………うっ、……すみません……っ」
肘に尻餅をついた衝撃で傷ついてしまったのを見つけ、痛みに泣きそうになっている餓鬼に「男なら我慢出来るだろ?」と言って手当てを軽くしてやる。
ほらよ、と薬を塗ってやり傷当てのシートを貼りつけてやる。頭を撫でて「偉いなァ」と褒めてやれば、「ありがとうございます」と顔をあげた。どこかで見たことがある顔だなァ。そんなことを思っていれば。
「ーーー隼人!」
「姉ちゃん」
走ってやってきたのは先日、俺を打った風門だった。弟を見つけると、すぐにそばにきて「走ったらダメって言ったでしょ?」と注意しだす。
弟は俺を見て、「この人が手当てしてくれた」と怪我したところを見せていた。俺を見上げる風門は「弟がすみません」と頭を下げる。
「別にどうってことねぇ」
「………非番、ですか?」
「んなとこだァ」
じっと俺の顔を見つめる風門は、すぐに青ざめた。俺の顔に何かあるのか、そう思っていると彼女は「き、昨日叩いた頬……」とボソリと呟く。そういや、あまりに強く打たれたからかまだ少し赤みが引いていなかった。
「ご、ごめんなさ……い、」
「後悔してねぇんじゃなかったのかァ」
「後悔はしてませんが、さすがに腫れてるの見れば反省しますよ……」
素直な奴だ。
じっと見つめていれば、風門の弟が「一緒にお昼どうですか?」と俺に聞いてくる。昼飯を食うに出かけていたのか、俺の目の前で目を輝かせる風門弟の頭を撫でる。
「良かったらどうですか?」と遠慮がちな風門に、「お前の奢りなァ」というと、風門弟が俺に抱きついてきた。
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呑子(プロフ) - 2話のひなき様がひなぎ様になってます (2020年6月11日 21時) (レス) id: b937ad49b1 (このIDを非表示/違反報告)
菜一郎(プロフ) - きゃああああ名前で呼んで欲しいってとこ可愛すぎぃぃいいいい (2020年5月29日 17時) (レス) id: 2c549b1da3 (このIDを非表示/違反報告)
鏡花(プロフ) - ぐはっ!告白ぅぅぅ!!尊い!!!死ぬ!!!! (2020年5月25日 23時) (レス) id: c8a359bcaf (このIDを非表示/違反報告)
Ø(プロフ) - こんなに素敵な小説に出会えてよかったです!大変かもしれないですが無理せずがんばってください!応援させていただきます!! (2020年5月21日 0時) (レス) id: 712c3e0bb6 (このIDを非表示/違反報告)
ハチハチ1129(プロフ) - 美桜さんの作品最高です!私も逮捕されたい、補導されたいと思いました(*^ω^*) (2020年5月19日 6時) (レス) id: 12ce184d67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年5月16日 13時