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「不死川先生、」
「……先生?」
「あ、はい。今っていうかこの世では俺の学校の先生なんです」
「へ、へぇ」
思わず見てみたいと思ってしまう。
炭治郎くんはその近くの鬼滅学園に通っているらしい。私は家が遠いからそこは考えてなかったけれど、そこには彼のように記憶のある人たちが数人いるようだ。
実弥さんが私の名前を知っていたことも前世の記憶がしっかりとあったからこそだと再確認する。炭治郎くんは、聞いてもいないのに実弥さんの話をたくさんしてくれる。
「今世では不死川さんと玄弥、仲がいいんですよ」
「ほんと?……良かった……」
「はい!でも玄弥が数学の点数悪くってよく怒られているところは見ます」
「…………はは、それでも弟は可愛いんだよね」
昔はいろんなことがあって、たった二人の兄弟の絆はギクシャクしていた。素直にならず弟の幸せを願う実弥さんと、大好きなお兄ちゃんに謝りたい玄弥さん。その二人が仲良くしていると聞けただけでも嬉しかった。
「俺も前世ではあんなことがあったけど、また母さんと父さんのいる家族に生まれて幸せです。ーーーAさんはどうですか?」
「…………」
まるで「Aさんは"幸せ"ですか?」と聞かれているようだった。炭治郎くんたちのように前世の親の元に生まれたわけじゃない。
やっと出会えたお兄ちゃんはよく会っているうちに、今の父親のせいで会えなくなった。そんな私は幸せだと言える?
「(絶望の匂い、)」
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カオリ - 素敵すぎました!!涙なしでは読めない、素敵な作品に出会えました。 (2023年4月29日 4時) (レス) @page50 id: 836efc3cce (このIDを非表示/違反報告)
楚依 - この神作を書いて頂いてありがとうございました!!!本当に何周も読んで、何周もキュンキュンしたり感動したり、本当に今まで読んできた作品の中で一番です!夢主ちゃんと実弥さんの絡み大好き過ぎます…改めて、こんな素敵な素敵な作品、ありがとうございました!! (2022年12月23日 23時) (レス) @page50 id: 2128c14dbd (このIDを非表示/違反報告)
楚依 - 本当に最高でした。何周したのか…師範大好きです。 (2022年12月23日 23時) (レス) @page50 id: 2128c14dbd (このIDを非表示/違反報告)
むちょ - 尊み(´ω`) ハッピーエンドで心温まりました。 (2022年12月5日 19時) (レス) @page50 id: afeec74a39 (このIDを非表示/違反報告)
ドク(プロフ) - お゛っあ゛…神様…尊みでひとりの人間が供給過多で死にました神作品マジでありがとうございます幸せっす本当ありがとうございますっ!!! (2022年5月29日 16時) (レス) @page47 id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年3月7日 13時