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「派手にいちゃついてるところ悪ィが」
「イチャついてなんかいません!馬鹿にされたこと私怒ってます!!」
「どこからどう見てもイチャついてるようにしか見えねぇぜ。不死川がされるがままの時点でな」
パッと師範を見ると、じっと私を見ていて思わずたじろぐ。頬を引っ張っていた手を離すと、師範は少し口角をあげてみせる。私にしかわからないぐらいほんの少し。
ドキッとして、またポカスカと師範を叩く。
「……馬鹿にしないでください」
「馬鹿だから馬鹿つってんだァ」
「もう!!」
ふんだっと顔を逸らして、改めてしっかりと座る。
「で、どうだ?」と改めて反応を聞いてくる宇髄さん。どうして私じゃなくて師範に聞いてんだ。
私はこっちですよとコメカミをピクピクさせながら言えば、「お前はもう不死川のもんだからなァ、コイツの許可おりねぇことには連れて行けねぇよ」と言った。
「師範……」
「無理な話だァ。そもそもコイツは超のつく馬鹿だァ。変なことに巻き込まれてみろ。一人で抱え込むのが目に見えてら」
変なこととはどんなことだ。
鬼もいない平和な遊郭だ。
そんなことを呟けば「平和、ではないけどな」と意味深なことを言われた。16の私にはわからないことが遊郭にはある、らしい。
役に立てるんだったら、遊郭でのお仕事をしたかった。けれど、ここまで反対されるならできっこない。ジーっと師範を凝視していれば、彼は頭をかきながら照れ臭そうに言った。
「……俺が嫌なんだよ馬鹿がァ。他の男に愛想振りまいて、触れさせたくねェ。……いい加減気づけェ」
「………!」
師範の心配かつ独占欲のある表情。私は師範の言う通り馬鹿だった。宇髄さんのニマニマした顔を隣に感じつつ「派手にダメそうだな」の声に、「やっぱりダメですね」と呟いた。
そして師範の服を両手で掴み、引き寄せる。
「おぉっ!」
唇を離して「好きです」というとニッコリと笑ってみせる。そして自分の頬を包み込み、「宇髄さん、私の体はもう私だけのものじゃないので♡」と丁重にお断りした。
「お前、不死川と恋仲になって、さらに頭弱くなってんな」
「ウヘヘ、うへへへへへへ」
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haruna242(プロフ) - 完結おめでとうございます!!毎日楽しませてもらいました!現パロの方にも続いてくれてとても嬉しいです!この作品とても大好きでした!これからも作品を頑張って更新していってください!全部見たいと思います!w (2020年3月11日 1時) (レス) id: 82e23a9053 (このIDを非表示/違反報告)
菊 - 完結おめでとうございます!最初から見させて頂きました!もう実弥推しがこの作品で爆発しちゃいましたっ☆(?)この作品を知らない人はぜひ見て欲しい…!!続編更新頑張ってください!待ってます。そして、お疲れ様でした! (2020年3月7日 18時) (レス) id: c37bfaaa1c (このIDを非表示/違反報告)
りついち - 師弟エンドも恋仲エンドも素晴らしかったです。完結おめでとうございます。お疲れ様でした。続編も読ませて頂きます!! (2020年3月7日 17時) (レス) id: 9c40eb9251 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらぎ(プロフ) - すっごいキュンキュンしました!完結おめでとうございます!!! (2020年3月7日 2時) (レス) id: 0f4d6815a6 (このIDを非表示/違反報告)
ありんちゅ(プロフ) - はじめまして、完結おめでとうございます、そしていつもときめきをありがとう。いつも心の栄養にさせてもらってます!これからも楽しみに待ちますので頑張って下さい!ありがとうございました。 (2020年3月7日 0時) (レス) id: db8c3d4d7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2020年2月21日 18時