俺の継子が可愛い件について【不死川実弥】

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自室に鏡を立てて、自分を写す。
その鏡に映る自分は口角を上げて笑っている。「よし、」と頷いた。



「さ、さ、さ、………さね、………さね、」



ボッと赤くなる頬を押さえながら「難しい」と呟く。

私だって名前で呼びたい。けど、4年もの月日「師範」と呼んでいたからそれが定着してしまい、いざそう呼ぼうとするとかなり恥ずかしくなる。


師弟関係から恋人になった方々に話を聞きたいぐらいだ。誰かいないの。はぁ、いないわ。どうやったら呼べるようになるんだろう。


宇髄さんに聞きに行こうか。あの人、三人もお嫁さんいるから絶対にいいアドバイスをくれそうだ。ついでにご飯をたかりに……。あ、でも師範とのこと話したら師範に4/3殺しされる。


引き出しから紙と筆を出す。紙の上に筆を走らせて、師範の似顔絵を描いてみた。そしてそれを鏡にうまく貼り付ける。



「うわぁ、自分の画力にアッパレだぁ。よーし、練習練習っと」



そうこれは目の前に師範がいると思って呼んでみる練習である。行ける、A、お前ならいける。そう何度も呟いて、口を開いた。



「ーーーさ、さね、………実弥、さん」



そう呼んでみて、うわぁーっと背中を畳の上につける。天井にある電気を眺め「お兄ちゃん、私今世界一幸せ者だぁ」と呟いた。


フフフフフフ……と一人で笑っていると屋敷の玄関が壊れる音がする。うわ、久々に聞くとすごい強烈だ。



「A！！！！！！！」



屋敷全体にその声が広がった。
ーーー私、何かしました？



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