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*
……とまあ殺されると思っていた私。
師範は髪に触れるとざんばらな頭を綺麗に整えてくれた。なんだなんだ器用だなァ。
「師範、器用ですね」
「………妹や弟たちの髪切ってたからな」
「私てっきり頸静脈切られて殺されるのかと思ってました」
お望みどおり切ってやろうかィと首元に刃物を添えられた時はヒヤリとした。少しして綺麗に毛先を揃えてくれた師範に、礼を言ってニューヘアスタイルを見る。
ほうほう、ロングからボブになってしまった。
だが、然し。私は可愛いのでどんな髪型でも可愛いようだ。うん。
「俺は別にてめぇの長い方が好きって訳じゃねぇぞ。てめぇの髪は短くても綺麗だろ」
「!!」
「ニヤついた顔してんじゃねぇクソガキ」
「だって、なんか嬉しいんですもん、ウフフ」
最近師範ってば絶対本気で私のこと可愛いと思ってるに違いない。ムフフと笑いながら、「可愛い人ですねぇ」と呟けば拳が飛んできた。痛い。
髪に触れ、手櫛で整えてくれる師範の指が肌に当たってくすぐったい。それに笑っていれば、「何がおかしいんだてめぇ」と頭をポカンと叩かれる。
「私、男の人に髪の毛切ってもらうの師範が初めてです。ほら、今までだって何かと胡蝶様とか甘露寺さんにお願いしてたじゃないですか」
「そういうのは女の方がいいだろうが」
「でも、今度からは師範に切ってもらいます。よし」
「何が"よし"だァ……」
フフフと鼻歌を歌って新しい髪型に満足する。
その傍、私の後ろで師範が頬を緩めていることに私は気づいていなかった。
*
ーーー…一週間後。
「てめぇ、その髪はどうしたんだァ」
任務帰り。お屋敷に帰りたくなり師範にそう尋ねられる。
「任務先で出会った鬼の血鬼術が髪の毛を伸ばすというとんでもない術で。くっそ長くなっちゃいました。でも一件落着ですね。整えてください!」
「…………飛んだ雑魚鬼だなァ」
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めい(元れん☆)(プロフ) - はじめまして!ここまで一気に読ませていただきました!とても幸せな気持ちです本当にありがとうございます!私もこのようにすてきな作品を残せるよう頑張ります、これからも応援しています! (2020年10月27日 0時) (レス) id: fb108a381a (このIDを非表示/違反報告)
koyuzuki0627(プロフ) - 夢主ちゃんも不死川さんも可愛いですね〜読みながらしWWWなずWWWWWWがわWWWさんっWWWWWWってなることが多かったです私は恋愛オチが良いです (2020年2月3日 1時) (レス) id: a9af658367 (このIDを非表示/違反報告)
ハミイ(プロフ) - 師弟オチもいいですが、私は恋愛オチの方がいいです!! この小説とても面白いので、いつも更新楽しみにしています!!応援しています!! (2019年12月25日 0時) (レス) id: 8cc530c36f (このIDを非表示/違反報告)
い ち ご ミ ル ク(プロフ) - 師弟もいいですが、やはり恋愛オチの方が私は好きです。これからも頑張ってください! (2019年12月25日 0時) (レス) id: 49aff0a89f (このIDを非表示/違反報告)
あり - いつも楽しみに読ませて貰ってます!師弟オチでお願いします! (2019年12月25日 0時) (レス) id: 5ec8350380 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2019年12月8日 18時