俺の継子が可愛くねぇ件について【不死川実弥】

130 ページ33

*



Aが小さくなり5日経つ。



「Aはねぇ、もうすぐお姉ちゃんになるんだよー」

「そうかァ」

「お母さんのお腹の中に今弟がいるんだって」



今日も今日とて、地面に枝で絵を描いているAを縁側から見ていればそう言った。縁側から庭に出て、Aの元に近づきその場に腰を下ろす。俺を見上げるAはニヒヒと笑い、「楽しみ」と呟いた。


「さねみんにはきょーだいいるの？」と聞いてくるその曇りなき眼に、俺はあぁと軽く返した。すると、興味深々に、姉なのか兄なのか、それとも弟か妹かどちらなのかを聞いてくる。



「弟だァ」

「Aとおんなじだね！弟絶対可愛いだろうな〜。さねみんの弟可愛い？」

「…………あァ」



ふふふ、と笑って再び絵に集中したA。

頭の中に思い浮かぶのは小さい頃の思い出。死んだ兄弟やそして玄弥。「兄ちゃん！」と俺を呼んで走ってくる玄弥の顔には笑顔があった。いつからそれを見なくなっただろうか。



「さねみん、大丈夫？」

「あァ」

「…………」

「何してんだ」

「ギュッ！てしてるの」



屈んでいるせいで、抱きしめる場所が頭になっていやがる。Aは「さねみん寂しそうな顔してる」とさらに力を強めた。


しばらくして俺を解放したAの頭を撫で、「ありがとうな」と礼を言った。ニンマリ笑うAは嬉しそうに「いーえ！」とまた抱きついてきやがった。


.
＊終わりが見つからないこのネタ＊

131→←129

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す