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「は、そんなこと言った覚え……」
覚えがないと言おうとした矢先、言葉が詰まった。小学生の頃、無理やりAといつも一緒にいた。毎年同じクラスになるように手を回し、Aを俺だけが独占していた。
悲しげな顔で下を俯いてしまったAに手を伸ばせば、今度は思いっきり手を払われる。俺を見るAの瞳にはうっすらと涙が滲んでいた。
「悟くんが言ったんだよ！使用人の子供は使用人だって！それ以下にもそれ以上にも私はなれないの！！」
俺に怒る姿なんて出会ってから一度も見たことがなかった。泣きながら怒るAに圧倒されて、何も言葉を言えなかったが、Aの言った言葉に思い出したことがあった。
『使用人の子供は使用人。それ以上にも、それ以下の関係にもなれるわけねぇっての』
『一生俺の使用人でいろ』
何気なく言い放った言葉が、Aの恋に呪いをかけていたのだと今更になって気がついた。
ハッとしたAが目元を腕で拭って隠した。「ご、ごめんなさっ……いっ」と謝るAにもう一度手を伸ばすが、その手は空気を掴んだ。
「…………もう、やだ」
「………は、」
「なんで私、使用人の子供に生まれたの……」
ポロポロと涙をこぼしたAは、学校の鞄を手に持つと「帰るね」と言って走り出した。追いかける暇もなく、そこにただ呆然と立ち尽くした。
昔……、餓鬼ん頃、Aの泣く顔を見るのが好きだった。だから、いつも庭先でAの背中を蹴っては泣かせていた。馬鹿みたいに泣き喚いていたあの頃に感じていたのは優越感か、それとも馬鹿みたいな俺の餓鬼心か。
「泣いて、た」
思えば、水瀬Aは俺の前でしか泣かなかった。小学校で、他の男がAをいじめていてもAは泣かなかった。嫉妬していた女子らに嫌がらせされていた小中時代も一度も泣かなかった。
泣いていたのは、俺がAを泣かせた餓鬼ん頃、そして『使用人の子供は使用人。それ以上でもそれ以下にもならねぇ』そう言い放ったあのときだけだった。
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沙羅(プロフ) - お疲れ様でした！完結おめでとうございます（＾ω＾）長い間読ませていただきました。番外編楽しみにしてます！甘々な展開、期待しております！ (2021年4月19日 22時) (
レス) id: f64d60a5d5 (このIDを非表示/違反報告)
踊る宝石(プロフ) - はじめまして！本当にこの作品大好きです。番外編がこれから少しあるんですかね？更新楽しみにしてます！ (2021年4月19日 1時) (レス) id: 7183f6d526 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美桜さん初めまして、この小説は五条悟オチですか？できれば五条悟オチでお願い出来ますか？続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年4月14日 21時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
飼口(かいぐち)(プロフ) - 一人称が僕になってる…！てことは夏油はこのときにはもう…？ (2021年4月13日 21時) (レス) id: 57441fdd79 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美波さん初めまして、この小説は五条悟オチですか？できれば五条悟でお願い出来ますか？続き頑張って下さい。応援してます。楽しみにしてます。 (2021年4月6日 18時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美桜
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時：2021年4月4日 19時
