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一度早退した修学旅行にまた復活参戦し、無事に旅行から帰ってきた。お母さんにお土産を渡すために会いに行き、ついでにお父さんの話をした。お母さんは泣きじゃくり「ごめんね」と何度も謝った。
その他に聞きたいことはたくさんあったけれど、泣いているお母さんを見るのが苦しかった。
「……さ、悟くん」
「何?」
「この状況見覚えがあるんだけど」
呼び出された、悟くんから。今日は高専に来いと言われ、はるばる来たのだけど。悟くんはベッドに腰掛けて、そして私は床に正座をしていた。
彼の手には数枚の写真がある。
それを見せてくる彼に目を見開いた。どうして学校内でしか売られていないはずの先日の修学旅行で撮った写真を握っているのか。一番の問題はそこだけど、不機嫌な悟くんに嫌な予感がした。
「この写真は、Aの学校の奴から買収した。まあそれは別にどうでもいいんだけどさ、コレ何?」
そこには1日目に、二宮くんとご飯を食べていた時と彼と二人きりの時の写真だった。
「すんげぇ可愛い顔して、写ってるけど?」
「(……………こんな、顔してたんだ)」
二宮くんとあの空間で悟くんの話をしていたときに撮られた写真。自分の顔を見ることができないとぼやいていたが、今見ることができた。
頬を染めて、今そこにはいない彼のことを思い浮かべながら話す姿はまさに恋する女の子といった感じ。
「言い訳ぐらい聞いてやるよ。話せ」
相変わらず命令口調な悟くんに、1枚目の写真を指差してこれは告白を断った時に撮られたものだと教えた。すると、悟くんは不必要というように写真を投げる。そしてもう2〜3枚の写真。
「…………自由未来館で空の中に入ったの。綺麗な蒼い空だった。だけど、それ以上に、もっと綺麗な蒼を私は知ってる、」
「ふーん、……で?」
「悟くんの瞳は、すべての空を閉じ込めたように綺麗で蒼く澄んでるって全力で語ってた」
正直に話した後、顔を上げる。
悟くんは顔を手で覆い「はぁぁ」とため息。なんだかよくため息をつかれるような気がするのは気のせいか。写真を返してもらおうと手を伸ばす。悟くんは立ち上がって、取れないように上に腕を上げた。
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沙羅(プロフ) - お疲れ様でした!完結おめでとうございます(^ω^)長い間読ませていただきました。番外編楽しみにしてます!甘々な展開、期待しております! (2021年4月19日 22時) (レス) id: f64d60a5d5 (このIDを非表示/違反報告)
踊る宝石(プロフ) - はじめまして!本当にこの作品大好きです。番外編がこれから少しあるんですかね?更新楽しみにしてます! (2021年4月19日 1時) (レス) id: 7183f6d526 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美桜さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年4月14日 21時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
飼口(かいぐち)(プロフ) - 一人称が僕になってる…!てことは夏油はこのときにはもう…? (2021年4月13日 21時) (レス) id: 57441fdd79 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美波さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟でお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。楽しみにしてます。 (2021年4月6日 18時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年4月4日 19時