76 ページ33
*
その夜、お母さんから電話があった。
母は五条家を出る資金が集まり、出ることが決まったこと。そんな話今まで聞いたことがなかったから驚いたけれど、五条家に恩があるとはいえいつまでもお世話になるわけにはいかないと。
そしてもう一つ。
「悟様とお付き合いしてるの?」とのこと。肯定すれば、お母さんは喜んでいた。小さい頃、お母さんに「悟くんがすき」とたくさん言っていたらしい。覚えがないけれど、母なりに使用人として彼のそばにいた私を心配していたらしい。
「実はね____」
悟くんのお父様が、五条家を出る母にマンションの一部屋を用意したとかなんとか。ええっと、これは悟くんのお父様に認められた?ということでいいのか。さっぱり皆目検討がつかない。
それでも命の恩人からの優しさと待遇だと思い込んでいる母は嬉しそうに、彼への感謝に声を高くしていた。
「お母さん、今度悟くんを連れて会いにいくね」
「えぇ、待ってる」
電話を切って数分後。
再び着信が鳴って、携帯を見る。【悟くん】の文字に、胸を鳴らせて電話に出る。「もしもし」と小さく言葉にすれば、電話の向こうの彼が「おっ、まだ起きてんじゃん」とケラケラと笑った。
「悟くん、今度一緒にお母さんの新しいお家に遊びに行こ?」
「もちろん。それよりAさ、今外に出てこれる?」
カーテンを開けると、下の方に悟くんがいてひらひらと手を振った。だけどもう寮から出ることが許されない時間だった。悟くんは窓から落ちれば?といきなり怖いことを言ってくる。
無理だと伝えれば僕が受け止めてあげると言ってくるから、私は挑戦してみることに。この階から落ちて悟くんが失敗でもしたら私死ぬけれど、多分大丈夫な気がする。そう信じて、飛ぶように窓から下に飛び降りた。
「ね?受け止めるって言ったでしょ」
「…………ひ、冷や汗がすごい」
無事にキャッチしてくれた。
信じてはいたけれどやっぱりあった恐怖心に背中を冷たい汗が伝ってしまっていた。
.
1548人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
沙羅(プロフ) - お疲れ様でした!完結おめでとうございます(^ω^)長い間読ませていただきました。番外編楽しみにしてます!甘々な展開、期待しております! (2021年4月19日 22時) (レス) id: f64d60a5d5 (このIDを非表示/違反報告)
踊る宝石(プロフ) - はじめまして!本当にこの作品大好きです。番外編がこれから少しあるんですかね?更新楽しみにしてます! (2021年4月19日 1時) (レス) id: 7183f6d526 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美桜さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年4月14日 21時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
飼口(かいぐち)(プロフ) - 一人称が僕になってる…!てことは夏油はこのときにはもう…? (2021年4月13日 21時) (レス) id: 57441fdd79 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 美波さん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟でお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。楽しみにしてます。 (2021年4月6日 18時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年4月4日 19時