弟の想い人に恋をしたはなし【不死川実弥】

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「A、今彼氏とかいないのか？」

「いないよ。ていうか、匡近くん、女の子にそんなこと聞いちゃダメだよ」

「そんな冷たいこと言うなよ。お前昔、俺と結婚するって可愛いこと言ってくれたじゃん」



それはそうですが。

はい書けたよと届出を渡せば、「3ヶ月持ち主見つからなかったら、お前のもんだな」と言われた。落とした人が今困っているんだからと言って、カバンを肩にかけた。


もう行くのか？と寂しそうな顔をされるけれど、講義があるから仕方ない。そういえば、今度お母さんがおばあちゃん家でパーティーすると言っていたっけ。



「匡近くんもおばあちゃん家今度来てよ」

「非番だったら行くよ。もう日にち決まってるか？」

「うん。この日」



日にちを伝えると、有給を取ると手帳に書き込みながら匡近くんは楽しそうに頬を緩ませた。じゃあまたねとニコリと笑って、交番から出ようとすると誰かが中に入ってきた。



「おー、帰ってきたか」
「…………あ」



私より10センチちょっと背の高い彼を見上げる。彼もまた「あ、」といった。また会えた……なんて少し嬉しく思えてしまう。だけど、すぐ横を通り過ぎて匡近くんに巡回が終わったことを伝えてた。


当たり前だが、やっぱり弟の友達だとしか認識されてないかぁ。


振り返っては、あの！と呼び止める。匡近くんが「なんだ？」と不思議そうに聞いてくる中、「匡近くんじゃない！」と言えば、わかりやすくガッカリした顔をされた。



「………玄弥のお兄さん、名前、教えてください」

「ーーーは？」



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