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「なんでだァ」
「し、知りたいから……」
見回りを終え、交番に帰ってくれば、匡近と知り合いだったのか、先日うちに来ていた玄弥の女友達がいた。あの!と大きな声で言い、匡近に呼びかけたと思いきやそれは俺に向けてだったらしい。
そしていきなり名前を教えてほしいと言ってくるソイツ……確か水城と言ったか、水城は真剣な瞳を向けてくる。
弟の女友達になんざ、教える義理なんざねぇし、教えたところでなんの得があるというのか。
「教えるも何も玄弥に聞けばいいだろォ」
「……そ、そうだけど……。せっかく会えたから、」
「悪ィが教える義理がねぇ」
わかりやすく、気を落としているのを顔に出す水城に、どこか匡近と雰囲気が似ていると感じた。特に女に興味を持たなかった故に、めんどくせぇと正直思った。
そんな俺と水城を見て、匡近が「そんな冷たいこと言うなよ実弥」と肩を組んできやがる。てめぇ、名前呼んでんじゃねぇ。匡近を睨むも、奴は笑顔を絶やさない。
「"さねみ"って言うんですか?」
「そうそう。コイツ俺の後輩なんだけど、A、実弥と知り合いだったのか?」
「友達のお兄さん」
そうかそうか、と納得している匡近の肩を払い、「で、そういうてめぇらはなんなんだよォ」と聞けば、いとこだと教えてくれた。どことなく似ていると思ったのはそのせいだったのか。
「A、大学遅れるんじゃないのか?」
「あ、忘れてた……。それじゃあ、匡近くんまたね。……さ、さようなら、実弥さん」
頬を染め、交番から出て行くソイツの背中に、匡近が「来週いい報告があるんだ」と言っていた。俺の方を見てもいうソイツにまた良からぬことを言い出すのではないかとげんなりとした。
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青子(プロフ) - もう、切なくて胸が痛いです…更新楽しみにしています!!よろしくお願いします!! (2021年1月24日 9時) (レス) id: 32fb39756e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - めーこさん» コメントありがとうございます!そうだったんですね、、出してからちょっとしたころに勝手に消えちゃって再上げしたんです、、また出会ってくれてありがとうございます、、まだ続く予定なので最後までご愛読お願いします! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 菜一郎さん» コメントありがとうございます!映画館のくだり〜!ありがとうございます!!キュンとくるようなエピソードこれからも入れるよう試行錯誤練ってみます!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - *カフェオレさん» コメントありがとうございます!単純なのでそう言ってもらえてうれしいです、私も好きです!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
めーこ(プロフ) - 初めまして!初コメです!以前読んでて突然消えてからずーーーーっと気になっててまた出会えたことに感謝感激雨あられです!更新頑張ってください!陰ながら応援してます!! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 2c11b94916 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年1月14日 18時