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「玄弥のお兄さん」
「おう。お前確か玄弥の、」
駆けつけてきてくれた警察官は、なんとあの玄弥のお兄さんだった。起き上がり、お尻の埃を払う私に、彼は少し話いいかと聞いてくる。これが俗にいう事情聴取というものなのかな。
先程の酔っ払いのおじさんはもう一人の警察官の腕の中で暴れに暴れまくっていた。その様子に、玄弥のお兄さんはコメカミをピクピクとさせ一度私から離れていく。
「眠ってろォ」とおじさんを睨み下ろした彼は、手の側面でおじさんの首を思いっきり叩いた。
お店の裏に案内し、転けて額を赤くさせている後輩くんの手当てをしながら簡単に状況を説明した。店長に連絡すると、すぐに来るという。
「てめぇ、」
「……警察官なのに、てめぇって言うんですか?」
「悪ィ。餓鬼の頃からの癖で」
玄弥も怒ったら、友達に対してですら「てめぇ」と言葉を荒げてしまう。兄弟だなぁと改めて感じつつ、「水城Aです」と名前を教えた。
あ?と私を見つめる彼に、もう一度名前を伝える。
水城と私の名前を呼んだ彼に、胸が一瞬だけドキッと鳴った。あのおじさんのことについてまた詳しく話す。
「お前は何もされてねぇか?」
「お尻、触られたぐらいです」
あったこと全てを話せば、玄弥のお兄さんはため息をついて「大丈夫か」と頭に手を乗せた。安心させてくれているのかな。大丈夫です、と笑えば彼はフッと軽く笑って見せた。
じゃあなァと手を振って酔っ払いのおじさんを連れて行った玄弥のお兄さんに手を振るう。この近辺にある交番の警察官なのだろうか。パトカーの中に入っていく彼の後ろ姿をずっと見つめていた。
「……………また会えるかな」
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青子(プロフ) - もう、切なくて胸が痛いです…更新楽しみにしています!!よろしくお願いします!! (2021年1月24日 9時) (レス) id: 32fb39756e (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - めーこさん» コメントありがとうございます!そうだったんですね、、出してからちょっとしたころに勝手に消えちゃって再上げしたんです、、また出会ってくれてありがとうございます、、まだ続く予定なので最後までご愛読お願いします! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 菜一郎さん» コメントありがとうございます!映画館のくだり〜!ありがとうございます!!キュンとくるようなエピソードこれからも入れるよう試行錯誤練ってみます!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - *カフェオレさん» コメントありがとうございます!単純なのでそう言ってもらえてうれしいです、私も好きです!! (2021年1月23日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
めーこ(プロフ) - 初めまして!初コメです!以前読んでて突然消えてからずーーーーっと気になっててまた出会えたことに感謝感激雨あられです!更新頑張ってください!陰ながら応援してます!! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 2c11b94916 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2021年1月14日 18時