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どれだけ寝ていたのだろうか。
気を失う前は真っ暗だった景色は、今は真っ白な天井と椅子に座る総悟で。真っ白な天井がやけに明るく眩しい。目を細めては「あー、久しぶりに痛い思いした」と嘆いた。


当然夜兎だから回復は早い。
殴られた頬にはガーゼがしてあるもののもう痛くないし、蹴られた時に打ち付けた背中も今はどうってことない。


ただ夜兎専用にと作られた痺れ薬がかなり効いていた。だいぶん良くなったし、軽い痺れぐらいしか残っていないから日常生活にはそんなに支障をきたさないだろう。



「よォ、起きたか」

「……うん、すっごい目覚め悪い」



普通病院で目覚めたら、目覚めはいいもののはずなのに。私のベッドに足を載せているこの馬鹿総悟。病人の足にちょうどというか絶対わざと乗せている。


枕を手にとって、総悟の顔に投げつけるとようやく足を降ろしてくれた。「十分元気じゃねぇか」とナースコールを押して医者を呼んでくれた彼に「まあね」と頬のガーゼを取ろうとした。


すると彼は「取ってやらァ」と歩み寄ってきては手を伸ばす。また痛くやるんじゃないだろうかと思って嫌だったけれど、総悟は優しくガーゼを取ってくれた。



「傷は残ってねェな」

「ホント?」

「おう」



「曲がりなりにも俺のせいだしな」と今回の事の発端を自分のせいだと言っている総悟に首を振った。元は私が油断して誘拐されてしまったのが悪い話だ。「大丈夫だよ」と言って、総悟に軽く笑った。



「そんな真剣な顔して!ははっ、傷残ってたら、総悟が責任取ってくれたの?」

「……」

「総悟?」



急に黙った総悟に、自分で変なことを言ってしまったのだと恥ずかしくなった。冗談にしては度が行き過ぎていたのだろうか。ドン引きして言葉が何も出ないのかもしれない。チーンと頭の中で音が鳴る。


なんだか虚しくなって、布団にズルズル入っていけば、総悟がやっと口を開いて「まあ残ってなくても俺がずっと側にいてやるつもりでィ」とサラッと男前なことを言った。



「待って!!」

「なんでィ」

「今さっき来たの!!トキメキって奴が!!キュンて来たよ。うわぁ、まじかァ……ハァ」



最後のため息はなんだよ、と私を冷めた目で見てきた。総悟にそんなカッコいい男前な言葉は必要ない。無駄にキュンとしてしまうじゃないか。



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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 夜兎   
作品ジャンル:アニメ
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まゆゆ(プロフ) - 星が10じゃ足りない‼︎ (5月7日 0時) (レス) @page50 id: d6c6f36b97 (このIDを非表示/違反報告)
のんのん - ありがとうございます!楽しみにしてます! (2018年11月3日 21時) (レス) id: 4f4766f7d4 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - のんのんさん» コメントありがとうございます!ハロウィン終わっちゃいましたが、続編にて書きますね!! (2018年11月3日 19時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
のんのん - リクエストいいですか?ハロウィンのお話読みたいです! (2018年10月17日 17時) (レス) id: 4f4766f7d4 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - のんのんさん» コメントありがとうございます!いつもありがとうございます!イメ画描いてくださるんですか?!ぜひぜひ嬉しいです!! (2018年10月14日 13時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/  
作成日時:2018年10月7日 18時

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