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大きく目を見開き、息が詰まる。
ホッとしていた気持ちはいつのまにか吹っ飛んで恐怖に飲み込まれる。
だけど、倒れたと思っていた総悟は腕を背中に伸ばしてぎゅっと抱きしめた。そのまま「会いたかった」と力強く抱きしめる。びっくりした。
「おい、何か反応しろよ。……って、テメェすんげぇ手震えてんじゃねーか」
「…………」
「何かあったのかよ」
ちょこっと頬に切り傷のある総悟は、私の手が震えているのを確認した。私の頬に触れ、「寂しかったかィ」と笑った彼の胸に顔を埋めて「馬鹿」と言った。
局長の一言で皆が解散し、私は総悟の部屋に一緒にいた。彼の傷の手当てをしてあげていると、さっきのことを早速からかってくる。ネタにするにはいい場面だったから仕方ないけど、ほんとに心配した。
「つーか、仕事しなくていいのかよ」
「あ、うん。ちょっといろいろあって気分悪くなっちゃったから早退したんだ」
「は、どっか悪いのか」
額に手の甲を当て、熱でもあるじゃねーかと確かめてくる。熱はないから安心してほしい。「総悟が死んじゃう夢見ちゃって」とアハハと笑いながら話した。死んじゃうと言っても意識不明の重体だったけど、それだけでも怖った。
「無理にして笑ってんじやねェよ。お前にとっちゃァ一大事だったんだろィ」
「……こうして無事に帰ってきてくれただけで嬉しいよ」
二人きりなのに、左右を確認した総悟は私の後頭部に手を伸ばして私を引き寄せた。そのままキスをしてくる彼に静かに目を閉じる。口を離した総悟は私の髪に指を通して「足りねぇ」と体重をかけてきた。
見事に背中が床にこんにちはしてしまった私に、怪我の手当てをしていたせいで上半身裸の総悟。ポーカーフェイスを崩しては愛おしそうに見つめてくる彼に、「おかえり」と伝えた。
「なぁ、抱いていい?」
「ダメに決まってんでしょ」
「じゃァ、俺ァ今から寝るからA、抱き枕になれ」
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まゆゆ(プロフ) - 星が10じゃ足りない‼︎ (5月7日 0時) (レス) @page50 id: d6c6f36b97 (このIDを非表示/違反報告)
のんのん - ありがとうございます!楽しみにしてます! (2018年11月3日 21時) (レス) id: 4f4766f7d4 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - のんのんさん» コメントありがとうございます!ハロウィン終わっちゃいましたが、続編にて書きますね!! (2018年11月3日 19時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
のんのん - リクエストいいですか?ハロウィンのお話読みたいです! (2018年10月17日 17時) (レス) id: 4f4766f7d4 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - のんのんさん» コメントありがとうございます!いつもありがとうございます!イメ画描いてくださるんですか?!ぜひぜひ嬉しいです!! (2018年10月14日 13時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2018年10月7日 18時