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「すごく悲しかった」
神威が家を出て行った時とは違う悲しみだった。
初めて味わったその感覚にどう対処すればいいのかわからない。ただただ涙を手で拭うことしかできないでいた。
そんな私を見かねてお妙が「沖田さんは幸せね、自分を想って泣いてくれる子がいるんだもの」と私を抱き寄せて、独り言のように話してくれた。
「ほんと男って馬鹿。女の子は繊細なんだから大事に扱ってあげなきゃダメよね」
「……」
「私も悲しんだり笑ったりし合える優しい男の人が欲しいわ」
「一緒にいたいって思える人をね」と付け加える彼女に、やっぱり浮かんで来たのは総悟だった。「お妙、」と彼女の綺麗な着物を掴んでは「私、」とお妙に言った。
「私の総悟への気持ちって恋…なのかな」
「さぁ、どうでしょうね。でも答えはもうAちゃんの中で出てるんじゃないの?」
敏感なお妙だ。私の答えももうすでにわかっていることだろう。そんなことを思っている私の答えは一つしかなかった。
「ーーー好き、俺様馬鹿野郎が」
「ふふ、今のAちゃんすっごく可愛いわ」
どんな顔をしているのかわからないけれど、無駄に顔が熱いからきっと今赤面しているに違いない。腰をあげて「買い物行くから私はこれで」と言う彼女に「私、もうすこし待ってみるね」と宣言した。
「次はAちゃんが沖田さんにいう番ね」
「……うん」
「頑張って。大丈夫よ。Aちゃんなら」
お妙に手を振って見送った。
時計を確かめるともう待ち合わせの時間から一時間半が経過していた。「よし、」と顔を叩いて気合を入れる。
ーーーだけど、総悟の姿は現れないまま、空から涙が降って来た。
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美桜(プロフ) - non@nqrseさん» 返信遅くなってすみません!興奮したまま最後まで読んでくださいね!それと御指摘ありがとうございます。なおしておきました!まだまだこれからもよろしくお願いします! (2018年10月6日 18時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 神鬼*conさん» 返信遅くなってごめんね(土下座)珍しくやる気出てきてて、すらすら文が思いついちゃうんだよね笑まだまだ更新早めていきますよ〜! (2018年10月6日 18時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
non@nqrse(プロフ) - 連続コメントすいません!62話と63話同じになってます!! (2018年9月24日 19時) (レス) id: 0592968b68 (このIDを非表示/違反報告)
non@nqrse(プロフ) - 続編御目出度う御座います&有難う御座います!吉原の神威が出て来た所から興奮状態です!!!!更新頑張って下さいいいいい!! (2018年9月20日 13時) (レス) id: 0592968b68 (このIDを非表示/違反報告)
神鬼*con(プロフ) - うおわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!続編おめでとう!更新スペース激早でビックリしてます!むりは程々やで!!楽しみにしてます! (2018年9月19日 19時) (レス) id: af0d4e115f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2018年9月19日 19時