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総悟にお姉さんがいたとは驚きだ。
「総悟のお姉さんてどんな人だったんですか」と土方さんに聞くと、ピクッと肩が跳ね上がった。首を傾げると、彼は「……いい女だったよ」と言った。
「此奴ら姉弟は総悟が小ェころに親なくしてな、姉貴が一人で総悟を育ててたんだ」
「……」
「甘やかしすぎてこんな俺様くそ生意気なガキに育っちまったんだろ」
総悟のお姉さんのことを話してくれる土方さんはなんだか少しかっこよく見える。彼が「いい女」というぐらいだ。すっごく綺麗で可憐で優しい素敵な人なんだろうなァ。
「土方さんも好きだったんですね」と微笑んで土方さんにいうと、土方さんは目を伏せて「あァ」と答えた。
「いつか私も会ってみたいなァ」
「……」
「土方さん?」
黙る土方さんに「大丈夫ですか?」と肩を揺さぶると、彼は静かに「もう会いたくても会えねェんだよ」と言った。……総悟のお姉さんは、私と出会う数ヶ月前に亡くなったそうだ。
私が総悟にほんとの家族はいないと言ったとき、彼もまた自分も同じで真選組以外ないと言っていた。寝ている総悟の顔を見つめながら、「辛かったね」と頭を撫でた。
「土方さん」
「なんだ」
「私は家族を持つのが正直怖いです。総悟はそう思わないんでしょうか」
小さい頃に両親を失い、また家族ができても誰かを失ってしまいそうで。こんなこと総悟には言えないけれど、もし彼をこの先好きになってそのまま家族になってまた無くしたりしたら…なんて嫌なことを考えてしまう。
総悟は「俺ァ死なねェ」と言ってそうだけど、心のどこかでそれが引っかかっているんだ。
「みんな不安の中、生きてんだ。先のこと考えたって仕方なェだろ。それに総悟のことだから大丈夫だ」
「そうですかね…」
「総悟の野郎は、思いやりが人一倍あると思うぜ。俺にはないがな一欠片も」
「俺ァ、此奴のこと応援するつもりはねェが総悟もいい男だぜA」と私に激推しすると頭を撫でて、立ち上がり行ってしまった。土方さんの背中が見えなくなるまで廊下の先を見、総悟に視線を戻した。
「……馬鹿みたいに、毎日あんたのことで頭いっぱいなんだよ」
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美桜(プロフ) - non@nqrseさん» 返信遅くなってすみません!興奮したまま最後まで読んでくださいね!それと御指摘ありがとうございます。なおしておきました!まだまだこれからもよろしくお願いします! (2018年10月6日 18時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 神鬼*conさん» 返信遅くなってごめんね(土下座)珍しくやる気出てきてて、すらすら文が思いついちゃうんだよね笑まだまだ更新早めていきますよ〜! (2018年10月6日 18時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
non@nqrse(プロフ) - 連続コメントすいません!62話と63話同じになってます!! (2018年9月24日 19時) (レス) id: 0592968b68 (このIDを非表示/違反報告)
non@nqrse(プロフ) - 続編御目出度う御座います&有難う御座います!吉原の神威が出て来た所から興奮状態です!!!!更新頑張って下さいいいいい!! (2018年9月20日 13時) (レス) id: 0592968b68 (このIDを非表示/違反報告)
神鬼*con(プロフ) - うおわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!続編おめでとう!更新スペース激早でビックリしてます!むりは程々やで!!楽しみにしてます! (2018年9月19日 19時) (レス) id: af0d4e115f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2018年9月19日 19時