66 ページ18
*
「つーかテメェ、相手が俺でもあの場でキスできたのか」
「え、」
「……」
「……できない」
総悟だけにはそんなこと出来るわけがない。素直にそう伝えれば、総悟は短く返事をした。
目を合わせられなく、斜め下を見つめていると、突然総悟が私の右手をとり、後頭部に手を増した。そのままグイッと自分の方に引き寄せた総悟。
またキスされると吉原の時を思い出す。
目を大きく見開き、総悟の瞳を見た。けど、彼に移るのは私ではなかった。
「……!」
キスされるのかと思ったけれど、私と彼の唇の間には私の右手が挟まれた。右手の甲に軽く総悟の唇が当たる。
「ーーー悪ィが、こいつの彼氏になる予定の男は俺でィ」
そう宣言し、私を抱き寄せた総悟。
私の背後からは「ヒッ」と声が聞こえてきた。逃げ去っていくような足音が聞こえた後、私を離してくれた。後ろをみると誰もおらず、総悟が「もう大丈夫でィ」と私の頭をポンと叩いた。
正直、彼には救われた。
総悟なら助けてくれると思っていたけれど、それがほんとに助けに来てくれるとは思いもしなかった。
「え?」と終始驚く私に、彼は「もう彼奴ァお前の前には現れねぇだろうよ」と。いいや、私が驚いているのはそれよりもっと……。
「……総悟のことだからキスしてくるのかと思った」
強引にでもあのときみたいにキスをしてくるとばかり思ってしまったから驚いたのだ。総悟が宮本さんを追い払ってくれた以上に。彼は何回か瞬きをすると「Aに触れてェのぐらい当然でィ」と私を見ていた瞳を逸らした。
そうならばキスするのでは?
と思ったけれど、総悟は至って真剣にこう言った。
「今はまだしねェ」
「前はしたじゃん強引に」
「だからよ違ェつってんだろ」
何が違くて何が本当なのかわからなくなってきた。総悟をじっと見つめると、目を細めて私に視線を戻してくれた。
「Aが俺を本気に好きになるまではもうキスなんざしねェよ」
「……っ」
彼のそんな言葉に少し胸が動かされた。
.
1229人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美桜(プロフ) - non@nqrseさん» 返信遅くなってすみません!興奮したまま最後まで読んでくださいね!それと御指摘ありがとうございます。なおしておきました!まだまだこれからもよろしくお願いします! (2018年10月6日 18時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 神鬼*conさん» 返信遅くなってごめんね(土下座)珍しくやる気出てきてて、すらすら文が思いついちゃうんだよね笑まだまだ更新早めていきますよ〜! (2018年10月6日 18時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
non@nqrse(プロフ) - 連続コメントすいません!62話と63話同じになってます!! (2018年9月24日 19時) (レス) id: 0592968b68 (このIDを非表示/違反報告)
non@nqrse(プロフ) - 続編御目出度う御座います&有難う御座います!吉原の神威が出て来た所から興奮状態です!!!!更新頑張って下さいいいいい!! (2018年9月20日 13時) (レス) id: 0592968b68 (このIDを非表示/違反報告)
神鬼*con(プロフ) - うおわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!続編おめでとう!更新スペース激早でビックリしてます!むりは程々やで!!楽しみにしてます! (2018年9月19日 19時) (レス) id: af0d4e115f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2018年9月19日 19時