年下彼女に要注意？【神威】

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「ごめん意地でも入るよ」


あっという間に扉をこじ開けて入ってきた神威さん。彼はどうしても話したいことがあると言った。靴を脱いだ彼は私の手を無理に繋ぐとリビングへと連れて行く。


テーブルの前に座らせられた私の前に、神威さんは胸から封筒を出して中身を私に見せた。それは「婚姻届」とでかでかと書いてあり、夫になる人の所にしっかりと彼の名前が彼の字で書いてあった。



「無理です、結婚なんてできないです…っ！」



予想はしていた。

けど、一度でも貴方のことを信じられなくなった私に貴方の人生のパートナーを務めることは許されるのか。「ごめんなさい…っ、私…っ」と震えていると、神威さんは私の手をそっと掴んだ。



「A…俺と結婚して」


「……っ」


「結婚するのが嫌なら俺のこと嫌いだって言って。そしたら俺もケジメがつくんだ」



ーーー神威さんのことが、嫌い。

そういえば神威さんは諦めて帰ってくれるの？そんな疑問と混乱が渦巻く。ケジメがついたら私と神威さんは赤の他人になれる？もう嫌な思いもしなくなくなる？



「……私……っ」



声が震える。彼のためにもしっかりと言葉に出さなきゃいけないのに、私の口はどうしてこういう時に限って正直なのだろうか。



「嫌いなんてなれるわけないじゃないですかっ」



馬鹿みたいに神威さんが好きで、馬鹿みたいに今この瞬間がどれほど待っていたか。


「嫌い」ただそれだけ言えばなにもかも終わるはずなのに、私は神威さんを嫌いになれる訳がないんだ。



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