older boyfriend 35 ページ36
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「……Aお姉ちゃんはかむいのこと大好きアルカ」
「えっ、そりゃァ…す、好きだよ」
終始無言になった神楽ちゃんは、乗っていた台から降りると小さな手を握りしめて拳を作った。
「どうしたの?」と神楽ちゃんの前に屈めば、神楽ちゃんは「一人になっちゃう」と言った。
「神楽からかむいにーちゃんを取らないでヨ…」
「え?」
「マミーいなくなってからずっとパピー仕事行っちゃって神楽一人アル…」
お母さんが亡くなった後、神威さんは度々一人でいることの多い実家に帰っては彼女の面倒を見ていたそうだ。
仕事のこともあって一緒に住むことは不可能だったらしく、時々行くという形しか取れなかったそうだ。
だけど、数ヶ月前から神威さんが実家に帰ってこなくなってしまい、神楽ちゃんはお兄ちゃんである彼のところに一人で来たらしい。
ーーー数ヶ月前、というのはきっと私が神威さんと親しくなった頃だ。確かにここに料理に来始めたのは数ヶ月前だしほとんど毎日だったから、神威さんが実家に戻らなくなった理由の一つにもなり得る。
「一人は嫌アル…」
決して涙は流さない。
ぎゅっと小さく握られた拳にはどれほどの寂しさがあるのか、私には計り知れない。
小さな体を抱き寄せては「大丈夫だよ」と優しく背中を撫でる。
「お兄ちゃんを取るなんてことしないよ。だって神威さんも神楽ちゃんのことすっごい大好きなんだから」
初めて神威さんの家に来た時、彼の鍵についてあったうさぎのキーホルダー。神楽ちゃんのリュックについているものと同じものであり。書斎にもうさぎのぬいぐるみなど。
「神楽ちゃんは一人じゃないよ。
私も神威さんも神楽ちゃんのこと大好きだから…」
「……っ」
「これからはたっくさんここに来ていいし、私も神楽ちゃんに会いに行くから…、ね」
ズビッと鼻をすする音が聞こえる。
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美桜 - 続き待ってまーす!(笑) (2018年8月16日 10時) (レス) id: d5e35b6f92 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 同じ名前ですねっ!とっても面白いです!!頑張って下さい! (2018年8月16日 10時) (レス) id: d5e35b6f92 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 紺谷 黎さん» コメントありがとうございます!私自身年上神威に甘い言葉を囁いてもらいたくこちらを書き始めました笑わわっ、そう言ってもらえた嬉しいです!!はい、友達ぜひ!笑笑 (2018年2月3日 23時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - みるくさん» コメントありがとうございます!3巻まで出すことにしましたのでまだまだよろしくお願いします!はい、無理せずに頑張ります! (2018年2月3日 22時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 真由さん» コメント、ご指摘ありがとうございます!訂正しておきました! (2018年2月3日 22時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2017年12月28日 11時