緋 色 の 君 .【神威】

緋君08 ページ9

*



足首から血が流れ出し、これはやってしまったやつだと悟る。どうにも動けなくて、自分の身を守る術が見当たらず。



「じゃァな小娘」

「……ッくそ」



天人が襲いかかってくる。
身を守ろうとするが、其奴は襲ってくる前に動きを止めた。あかい血が私の頬に飛び散る。天人の胸から突き出している白い手はグーパーと広げたり握ったりしていて、あっという間に天人の胸から出て行った。



「………」

「これで全員殺し完了っと」



「腰でも抜かしたの？」と私を見下ろす彼に「そんなわけない」と答える。あかい血にまみれた彼の白い腕。周りの天人、そして交渉相手だった男までもが皆床に血塗れに倒れていた。


彼は私の前にしゃがみこみ、手を伸ばす。
指先で頬に飛び散る血を拭き取ってくれるが血塗れの手でされても意味をなさない。「どうしたの」と声をかけてくるが耳に入らず、私は「名前教えて」とつぶやいていた。



「名前？武士って自分から名乗るもんじゃないの？」

「私は沖田…A…」

「俺は神威」



口角を少しだけあげた神威は、私に手を貸す。
そや笑みは彼自身が出しているものなのかそれともただの作り笑いなのかはわからない。手を取ろうと手を伸ばすが、私たちの間に一筋の刀が舞い降りた。



「よォ、人の妹に何してくれてんだテメェ」

「げっ、」
「……おっ？」



私たちの前に姿を現したのは別件の仕事に出ているはずの我が兄、沖田総悟だった。私を見て「孫にも衣装だな」と笑ったお兄ちゃんに苛立つ。彼は刀で肩をポンポンと叩きながら「また会ったな」と言った。



「また会えるとはびっくりだね。すっごい嫌だけど運命かな」

「そりゃァこっちのセリフで気持ち悪ィな」

「お巡りサンの妹だったんだ。なるどねぇ。だからアンタと同じ匂いがしたんだね」



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