緋 色 の 君 .【神威】

緋君47 ページ48

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「かーむいっ、何してるの？」

「何も。ただ外を眺めてるだけ」



外の景色を眺めていると、俺の瞳には青い地球が写り込んでいた。あれから数週間が経って、いつもの日常に戻っていた。彼女がいなかった日々に戻ったはずなのにどこか寂しく感じるのは気のせいだろうか。


彼女の行方はあの日のままわからない。
"もしも"のときの伝言を聞いていた阿伏兎も、Aのその後の詳細は分かっておらず。ただ単に自分の帰るべき場所に戻ったのか、それとも何かに巻き込まれたのか。後者だとは思いたくないけれど、無理に前者の方を考えてしまう。


もし仮に前者の方だったら、その想いはその程度だったのだろう。まァ女にそうされるのは慣れている。表面上だけ気に入って、俺に媚びを売る。そんな女は吉原や宇宙のどこにでもいる。だからなんてことない。



「……はずなんだけどな」



ポツリと言葉をこぼした。
なんだかここ最近ずっと俺にまとわりついてきていたAがいないのが心寂しく思えていた。うるさい奴がいないのはそれはそれはいいことなのに。


阿伏兎に調べてもらっているがどこにいるのか検討もついていないようだ。次地球に降りたときにでも自分で探してみようか。あっさり出てきてまた私も連れて行ってなんて笑って言ってくるんじゃないだろうか。



「……俺も随分彼女に汚染されたもんだ」



クスッと笑っては腰を上げて阿伏兎をひやかしに行った。



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