緋 色 の 君 .【神威】

緋君38 ページ39

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どんどん地球に行く日が近づいて行く。私の体調はあの日以来良くなることはなかった。薬も底をついていき、追っかけっこもそろそろかなんて悔しい想いに駆られていた。


神威やここの団員たちに気づかれないようにすぐれない体調を隠すのは大変だ。食欲もあまりないけれど、それは地球人だからといえば大体誤魔化せれる。


一人で部屋にいることが多くなったのは多少寂しいけれどそれでも同じ船に彼と一緒にいれるのが嬉しかった。地球に降りたら真っ先に病院に行っていい薬をもらえばまた一緒に宇宙に行ける。



「A、」

「どうしたの？」

「最近部屋に閉じこもりっきりだね」



様子を見に来た神威は私の近くにやってくると「ふーん、君ってそんなにインドアだったけ」と聞いてきた。馬鹿な。私はアウトドア派である。


「部屋から出るのめんどくさいから大人しく雑誌読んでるの」と全く興味のない雑誌を開いてパラパラと捲る。神威はふーんと興味なさそうに返事をし、私の頭を数回撫でた。



「子供扱いしないで」

「別にしちゃいないさ」

「してるよ。みーんな私の頭を撫でてくるんだから」



近藤さんも土方さんも坂田の旦那も…お兄ちゃんも。皆んなからの頭を撫でてもらうのは子供扱いされているからだと思っていた。だから自然と神威に頭を撫でられても嬉しい気分にはなれなかった。


少しは神威にも私のことを意識してもらいたい。
なかなか上手くいかない。彼の方に体を向けてじっと目を合わせる。無表情だった神威の表情は広角を少し上げてどこかドヤ顔だった。すぐに目を逸らしてしまう。



「神威は私のこと少しは好きになってくれた？」

「どうだろうね。でも、嫌いじゃないよ」

「……嫌いじゃなければ好きでもない……ってか」



ソファーの上に足を上げて膝を抱える。
私はただ貴方の口から「好き」の言葉を聞きたいんだ。私のこと、女として好きになってもらいたい、のに。



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