緋 色 の 君 .【神威】

緋君34 ページ35

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1時間ほど、医務室の前で待機していた。
女の子は眠ってしまって、俺の膝の上だ。足が重い…なんて思いながらも彼女の頭を数回撫でた。


漸く医務室から出てきたAは赤く染まった手袋を取って俺にニコッと笑ってみせた。その笑みから銃弾を取り除くことに成功したことが読み取れた。「お疲れ様」と言えば彼女はホッとしたかのように崩れ落ちて「よかった…」と涙をこぼした。



「泣くことなんてないのに」

「ううん…。だって兄妹だもん。一人欠けるだけでもすっごい心細い。…アンタにもわかるんじゃないの、兄妹ってものの有り難み」



「ね、神威」と俺に向けられた言葉に「そんなもの捨てたよ」と言い、医務室に入った。綺麗に取り除かれた銃弾を見、男の子に目を向けると綺麗に包帯が巻かれていた。


よかったねと彼の頭をよしよしと撫でてやる。
中に入ってきたAは「消毒もしなきゃだし、明日までここにいてもらうことできない？」とお願いしてきた。まあ別に星潰しも終わればここを去るのはいつでもいい。


それに消毒液もなさそうなこの地では、傷口から感染して逆にまた命取りになってしまいそうだ。2〜3日はいてもいいよと言うと、彼女は喜んで「ありがとう」と言った。



「お兄ちゃん！」



目覚めた女の子も彼の元に寄り添うと嬉しそうに泣いていた。「お兄ちゃんか、」思わずそんな言葉を零していた。



「いいよねぇ、お兄ちゃん。私も会いたいなぁ」

「じゃ、地球に帰るかぃ？」

「それはない」



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