緋 色 の 君 .【神威】

緋君33 ページ34

*



「……!!」



男に刀を抜くが今からでは間に合わない。そう直感した。だけど、少しは防げるかもなんて淡い期待をし。



「グアアァッッ」



敵の攻撃を防ぐ前に男が唸り声をあげた。
男の胸から突き出ている腕、見覚えのある光景にデジャブを感じる。グーパーとあのときのように手を開け閉めした彼は腕をそいつから抜いて、「やァ」と呑気に笑っていた。


初めてあった時と同じ光景に胸が不覚にもときめいてしまった。頬が赤く染まってしまう。神威は子供たちの状況を聞いてきた。



「手当てするのに水がいるの。向こうの方に井戸があるらしいから汲んできてくれない？」

「いいよ」

「ありがとう」



彼に水汲みを頼むと子供達のいる家まで戻り、台所にあるものを探した。一般家庭だからないか…。


水を汲んできてくれた神威に「戦艦に医療道具ある？」と尋ねるとあぁと答えてくれる。男の子の腕の傷口を巻いている布を外し、再び止血すると「戦艦に今すぐ戻ろう」と言った。ここからなら15分ぐらいで行けるだろう。それまで保ってくれ…と祈る。


女の子と神威と一緒に戦艦に戻ると、すぐに医務室を借りた。手術道具が全て揃っておりこれならこの子の肩に残っている銃弾を除去することができそうだ。



「神威、今からこの子の傷の手当てするから女の子を別室に連れて行って」

「できるの？」

「わからない。失敗するかもしれない。けれど、助けたいから」



お兄ちゃんたち隊士も撃たれて帰ってくることが多かった。医療班のお姉さんから撃たれたときの対処法と簡単な手術法を教えてもらっていた。できるかどうかは別として、今はこの子を助けなければいけない。



「なら大丈夫だね。俺はAを信じてるよ」




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