緋 色 の 君 .【神威】

緋君30 ページ31

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「おおっ、チャイナ服」



阿伏兎から渡されたのは二着のチャイナ服だった。
夜兎でないのにチャイナ服を着ていいものなのか変わらないけど、ここにいるからには着るしかない。ありがとうとお礼を言ってはそれを袋に入れて手に提げる。


ちょうど出来上がっていた書類を彼に渡すと、彼は喜んでいた。出来るものならいろいろ手伝ってはいるが、かなり手応えのある量だ。溜め込んでいるんだなァ。



「ところで嬢ちゃんも団長を好きになるたァ変わり者だな」

「そう？」

「あァ。あんな顔だけの戦闘馬鹿アホ毛野郎だぞ」



思わず吹き出してしまった。
長年一緒にいた相手だからこそわかるのだろう。私以上に関係がある彼なのだから。顔が好みかって言われたら多分好みのうちには入るかもしれない。だって美形だもの。


でも一番好きだと思ったのが彼の人の殺し方とあの笑みだ。躊躇わずに人を殺し血を浴びるその様がどことなく綺麗で、あの笑みだって本物ではないのに惹かれてしまった。いつかその笑みを覆すほど、自分に惚れさせて彼自身の持つ笑顔を見てみたいなんて。



「阿伏兎に言っても無駄かなァ。ただ綺麗だってことだけは言っておくよ」

「嬢ちゃんもかなりの変わり者なのかもしんねェな」

「変わり者とは言われたことないなァ。馬鹿とはよく言われてたけど」



「それじゃ次はこれやるね」とほかの仕事を受け取って、部屋から出ようとしたところ阿伏兎は私を呼び止めて週末にある星潰しに参加しないかと申し出た。



「へぇ、楽しそうだね。いいよ手伝ってあげる」

「う〜ん〜、人手は足りてるんだがな」



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