緋 色 の 君 .【神威】

緋君14 ページ15

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ーーー悔しい。

兄以外の男に膝をつくなんて、そんなの初めてだった。全力を尽くしたつもりだったが、神威には何一つ敵わなくて、膝をついている私は傷だらけである。神威は傷一つなくいつものあの作った笑みを浮かべていた。



「……さいっあく…っ」

「どうでもいいけどさ、ホントは本気出してないでしょ？」

「……え…」



私を見下ろす彼は「微かに剣さばきに隙ができてるよ」と言った。一体自分はどうしたのだろうか。いつもなら本気で向かって敵を殺すのに。


「手ェ貸してあげる」と私に手を伸ばした神威の手を払って立ち上がる。刀を鞘に収めると神威をギッと睨みつけた。ニンマリと笑う神威は数歩後ろに下がり木に寄りかかると腕を組んで私を見ていた。



「負けてもなお牙を剥くとはね」

「私はまだ生きてる。アンタに負けちゃいない」

「ふーん」



「俺の知る中で君は強いよ」と私の方に近づいてくる。腕を痛めてしまい押さえていると、神威は私の頬に手を伸ばした。それはあの時と同じように。その動作に息が詰まりそうになった私はじっと神威を見つめていた。


彼の青い瞳に写り込ん私は無表情で。
神威の白い手は頬から顎へと降りてきて少し斜め上へと持ち上げられた。



「君みたいに強い子を俺は、」

「………」

「ーーー緋くしたい」



その言葉に何かが動かされた。



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