年下男子と恋愛中。【神威】

恋愛45 ページ45

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「俺を抱きしめてよ」

そのお願いに少し戸惑ってしまう。
だけど、ブランコから降りると神威くんの前にいきさびた鎖を掴んだ。



どことなく寂しい笑みを浮かべる神威くんは大きく手を広げてくる。座っている神威くんに合わせるように、膝を曲げて胸の中に自ら入っていく。




「……あったかい」


「人間湯たんぽになるでしょ？」


「うん。とっても暖かい…」




背中に回された彼の手は私を離すことなく力強く抱きしめる。時折、ポンと優しく背中を叩いてくれたり撫でてくれたり。



身体が離れ、どこか寒くて寂しい思いに駆られてしまう。神威くんを見上げれば、私をまっすぐにその蒼い瞳に写していた。




「(……あ、ネモフィラみたい)」




まるでネモフィラの花の色のような蒼。

頬を滑ってきた彼の手に気づかないぐらい、見つめ合っているとどんどん距離が近くなってきてしまう。




「……だめ」




触れる寸前。

自分の手で遮ると「ごめん」と謝る。




「………っあァ、ちゅーしたかったんだけどなぁ」


「ごめんね」


「わかってるよ。でも、犬みたいな目で見られたら俺だって我慢できなくなっちゃうんだ」





「……犬？」とクスクスと笑う。

何年か後まで取っておくよとブランコから降りる彼は「俺も頑張らなくちゃ」と両手を上にあげた。



神威くんは本当にすごい。
私なんかと違って強いし、前向きだ。



数年後には、神威くんの隣を胸張って歩けるような素敵な女になりたいな。




「(ーーー大好き、って伝いたいけど)」




私も我慢、そう言い聞かせて神威くんに「帰ろ」と言った。




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