禁 制 恋 愛 .【神威】

Bergamo38 ページ39

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ーーーきっと今自分が行動を起こそうとしてるのはあの小説の一部の影響だろう。




「(私には、やっぱり)」




ーーー神威が必要で、そばにいたい。

ここまで彼に堕ちていたのか。沼のようになった彼(底)に踏み込んでしまえばもう私はそこから抜け出せなくなっていた。




「兄上様、Aです。失礼します」




兄上様のいる部屋へとやってきた。

中には兄上様とお付きの者がいて、「話があるのです」と伝えれば気を利かせてくれ、お付きの者は部屋を出て行った。



「どうした？」と優しく微笑む兄上様。

あぁ、私はなんて優しい兄に恵まれていたのだろう。決して血が繋がっているわけでもないのに、彼は本当の妹のように接してくれた。それは今は亡き母上も父上も同じ。



そんな兄に今から私は自分の意志を伝えるのだ。どんなことを言い出すか兄上様は予想できているだろうか。多少の沈黙を取っていると兄上様もやはり何かを察したのだろう。




「言いにくいことなのか、Aよ」




優しい口調。

「余は覚悟している」と決して怒りもせず、いつも通りに彼は言った。




「ーーー私を、殺してください」


「？！」




告げたのは私の命を絶って欲しいとのこと。
予想していたこととは大幅に違う内容に彼は驚きを隠せないようだ。




「どういうことだ」


「私を徳川Aをこの世から消して欲しいのです。わがままなのは承知です」




ここずっと考えていた。
このまま、自分の想いを血が繋がってるからとかそんな理由だけで諦めていいのか。


ーーあの小説の女の子のように、私は家族を捨ててでも愛した彼の元にいたい。……彼女のようになりたかった。




「私は徳川という苗字を背負えるほど綺麗なものではありません。もちろん兄やそよのことは大好きです」




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