Bergamo31 ページ32
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「阿伏兎、A知らない?」
「あ?帰ってきてねェのか?」
「どこか行ってたの?」
春雨の本艦から帰ってくれば、彼女の姿が見当たらないことに気がついた。決まっていつも俺の部屋か阿伏兎の部屋、食堂にいるのに、どこにもいないのだ。
最後に阿伏兎の部屋に向かって、中を覗くも阿伏兎しかいなく。彼に聞けばシンスケのところに行ったらしい。
自分から鬼兵隊に行きたがらないAが行ったのが妙に引っかかる。最近、俺をよく避けているAは何か不安があったのだろう。
「……シンスケのとこ行ってくる」
阿伏兎にそれだけ伝えて、部屋を出た。
鬼兵隊まではそう遠くない。この第七師団と鬼兵隊が手を組んだときから並列移動している。だから戦艦同士の連絡通路なるものを通していけばすぐにたどり着くのだ。
すれ違う鬼兵隊の人たち。
シンスケの部屋に入れば、そこにはシンスケと武市、後河上という侍がいた。
「シンスケ、Aはどこ?」
「さァな」
「知ってるだろ。言えよ」
ククッと喉を鳴らす彼にふつふつと怒りがたまって行く。周りの二人に聞いても「知らない」の一点張り。
シンスケに近づいて胸ぐらを掴むとシンスケはいやに笑いをこぼした。
「あの女は使えなかった。表沙汰に出なかった姫さんを誘拐したのはいいが、奴らは俺らの要求に飲まなかったんでなァ」
「……だから?」
「来島が地球に返しにいった」
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「……彼奴がおとなしく帰るわけない」
「いやァ?あいつは言ったぜ。
ーーー"帰りたい"ってよ」
ーーーあり得ない。
俺の側にいたい、とあのとき俺の手を取ったA。
自由になりたいと言っていたA。
どんなに考えても彼女が帰りたいと思う理由が見当たらない。
動揺している俺を見て、シンスケはまた喉を鳴らした。
「まだわかんねェのか?お前ェらは運命的に出会って、偶然に恋に落ちたわけじゃねェよ」
「……は?」
「こりゃァたまげたぜ。その様子じゃ勘付いてたのはあの娘だけだったんだな」
「ーーーお前らはただ必然的に惹かれあっただけの恋愛にすぎねェんだよ」
「お前ら双子の兄妹だったらしいぜ」
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狛犬と朧月+ - あなたの作品、いつも楽しんで読ませていただいています。とても面白くてすっかり大ファンです!続きスッゴク気になります、これからも頑張って下さい!! (2017年11月10日 21時) (レス) id: 9604c8573d (このIDを非表示/違反報告)
reiponn(プロフ) - 歪んだ愛情、愛してる、小さなうさぎどれも見てます!この作品もすっごく大好きです!これからも頑張ってください! (2017年8月24日 20時) (レス) id: 61a6d8b17c (このIDを非表示/違反報告)
夏向@テスト期間は低浮上(プロフ) - 美桜さん» はい、確かにコメントするのは久しぶりです(笑)でも美桜さんの作品は更新される度にニヤニヤキュンキュンしながら読んでますよ〜! (2017年8月22日 21時) (レス) id: 2e5a8262c2 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - nonさん» コメントありがとうございます!次はヤンデレと言いましたが、多分イクメンパパ出すかもしれないです笑笑でも!ヤンデレも出しますよ!お話はいろいろ溜まってきてますので。その前に沖田さん出すので待っててくださいね!! (2017年8月22日 20時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 黒狐の信乃さん» コメントありがとうございます!ヤンデレ初挑戦で展開的にも面白いやつ考えてるので待っててくださいね! (2017年8月22日 20時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作成日時:2017年5月28日 12時