禁 制 恋 愛 .【神威】

Bergamo28 ページ29

.



「ーーーここ、」


「そう。俺の生まれた星」




ーーー知らないはずなのに、懐かしい空気のにおい。


一緒にやってきたのは、神威の生まれた星ーーー洛陽。ジメジメとしたそこを歩く神威の後に続いてく。

先ほどから無言の彼の背中はどこが寂しそうだ。




「うっわー。すっごいボロくなってる」


「ここがお家だったの？」


「うん」




もう誰も住んでいない廃墟と化した自分の育った家を見て、悲しそうに瞳を揺らした神威。中に入ってみると、家族の暖かさがまだ残っているように感じた。


机の上に飾ってある埃を被った家族写真。




「A、行くよ」


「……待って」




手に取って見ていた私の足元に落ちたのは一枚の写真だった。それを手に取り写真の中を見てみればそこに映るのはサーモンピンクと黒い髪の赤ちゃんたち。


ーーーそして裏面に綺麗な字で書かれた二人の名前に、息が止まった。




「…………噓、」




今まで不安に思っていたことが全て一致してしまったような、まるで鈍器で頭を殴れた気分。


"ごめんなさい。それでも貴方を愛してる"と書かれた字は、何故かペンが滲んでいて。泣きながら書いたのだろうと一瞬でわかった。




「A、何してんの早く」


「……っ、うん、今いく」




その写真を懐に隠して、激しく波打つ心臓と悲しさに泣きそうになる。


私へと笑ってくれる彼に、泣き顔なんて見られたくないがために精一杯表情筋を保って笑顔を作る。




「(ーーーあァ、なんで神様って意地悪なの)」




.

Bergamo29→←Bergamo27

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す