禁 制 恋 愛 .【神威】

Bergamo27 ページ28

.




「随分と口が達者になってきたね」


「ああでも言わないとやめてくれないでしょう？ここの人たち」




「優しい人ばかりだと思ってたのに、残念」と肩をすくめる。「俺が来なかったら殴られてたよ？」と言って頭を撫ぜる神威。私を助けてくれるって思ってたから安心してたんだ。


彼に向きな治り、神威の頬についている血を着物の袖で拭いてあげる。顔を歪める彼に「じっとしてて」と言いながら拭いていれば気づいたことが一つ。




「馬鹿。私に嘘ついてる」


「ん？」


「怪我してるじゃない。かすり傷だけど…」




血がこびり付いていたところが少し切れていて。
優しく指でなぞると、こそばゆいのか目を細めた神威に「嘘つかないで」と目を伏せる。




「こんな程度で怪我だなんて言えないよ。もっと派手なときは肋骨折とかしてるし。それに俺らはそんなヤワじゃない」


「わかってる……、わかってるけどやっぱり心配なの」


「…………、ごめん。でもAは安心してて。俺は何があっても死なないから」




震えて今にも消え入りそうな声で不安を呟く。

本当はこんな女にはなりたくなかった。だけど、今自由になれた嬉しさ、離れたくないって思ってしまう。好きになってしまったらもう後には戻れない。




「お前に惚れてよかったよ」


「……っ。どうしてそんな平気な顔でさらっと言えるのよ」


「ふふ、」




彼の言葉は私の心臓に悪い。

二人で手を繋いで、部屋まで行くと扉を閉めた途端に熱いキスがやってくる。抱擁と甘いキスを受け入れていれば、神威が口を開く。




「俺、Aと行きたいところあるんだけど」


「え？」


「会わせたいーー人がいる」




揺れた瞳に、思わず頷いてしまった。


ーーーそこで、私たちの関係が大きく変わることを知らずに。



.

Bergamo28→←Bergamo26

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す