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A
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『銀さん、まだ着かないんですか?!』
「これでも全力なんだよ!」
『急いでください!!』
ーーー総悟が、大怪我をした。
そんな電報が入ったのは、真選組が江戸に帰ってきてすぐのことだった。
サーっと青ざめる私は、銀さんに頼んでスクーターに乗せてもらったのだ。行先は大江戸病院。焦る私をあざ笑うかのように、スクーターのスピードはあまりでず。
「こんなときに故障かよ!」
『後、少し頑張ってください!』
「チクショー!!」
銀さんのスクーターがご臨終する前、なんとか時間はかかってしまっが病院についた。看護師に総悟の部屋を聞いて、慌ててその部屋へと向かった。
ーーーバンッッッ!!!
『総悟!!!』
「よ、」
『ーーーへ?』
そこには、割と元気な彼が布団に身を埋めていた。
すぐそばにいた土方さんをぎっと睨んだ。
『土方さん!総悟が死にそうだって聞いたから慌てて来たんですよ!!』
「俺ァ、大怪我したって言っただけだ。どこでそんな風に解釈されたんだよ」
「オイオイA、俺ァ土方さんを抹殺するまでは死にはしねーぜ」
ハァ、と一つ大きく安堵の息まじりのため息を零して、総悟のそばにあるイスに座った。「悪ィな、つーか走るなよその体で」と頭を弾かれる。
『だって、心配だったんだもん……』
「ちと肩をやられただけでィ。お前が舐めてくれればすぐに治るんだけどなァ」
『いいよ、舐めてあげるから見せなさい』
「ねぇ、お前ら何をやってるの。Aも馬鹿だろ。舐めて治れば誰だって苦労しねェよ」
冗談のつもりだったのだが、土方さんは動揺しまくりだ。傷口を見せようとする総悟と前かがみになる私を見て顔を赤くさせた。
肩に巻かれた包帯が赤く染みている。
『…………………』
「ンな顔するなA。総悟は、仲間を庇って敵にやられたんだ」
「そうでィ。かっこいいだろィ?」
『……っ。うん、かっこいい……っ。
生きててよかった……っ』
安堵の涙が頬を伝う。
大怪我と聞いて、頭は真っ白。嫌な予感が頭をよぎったが、肩だけで済んで何よりだった。
ーーー小刻みに震える私を彼はそっと抱きしめてくれた。
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アキ(プロフ) - 沖田かっこよすぎるしもうほんとに最高でした。。!一気読みしちゃいました笑笑 (2022年2月27日 0時) (レス) @page48 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 蘭夢さん» もう何ですかその嬉しい言葉の表現は!笑笑嬉しいことばかり言っちゃってくれて!泣きますよ← (2017年6月28日 22時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
蘭夢(プロフ) - 此処ww 何回目です?wwまた、来てしまったww 何故か此処に良く来るww もう何度も読んだのにww そして、何故か気づいたらww もう開いていたww 今、5〜6回目 位かな?ww (2017年6月28日 21時) (レス) id: 84be498276 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - カナリアさん» コメントありがとうございます。テスト勉強は大切ですよ。私なんて受験終わってからの中間テスト、ほぼノー勉で行ったら順位一つ落ちましたもん笑笑わわわっ、ありがとうございます!これからも頑張ります! (2017年6月23日 1時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
カナリア - テスト勉強ガン無視で読みふけちゃいました笑いーなーいーなー夢主ちゃんが羨ましくてたまらない。あんな幸せな家庭!気づきたいです笑これからも時間をおいて愛読させていただきます♪ (2017年6月23日 1時) (レス) id: 8d5d6e7b7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2017年4月29日 10時