【銀魂】歪 ん だ 愛 情 .

歪23 ページ24

.




沖田



.





「まァ、教えるっつてもなァ……」





普通にわかるだろィ、と大きな風呂場の中を見渡しAに伝えれば頷いた。野郎共が多い分、広い風呂場に一人だけ入るのはかなり寂しいがまあそんなことどうでもいい。





「アンタの寝間着ねぇから、俺の浴衣貸してやらァ」


『ありがとうございます』






Aは俺の浴衣を凝視しながら脱衣所に行き、俺はAが入っている間間違って誰も入らないように風呂場の前で見張りを。





『………いたっ』


「…？」






脱衣所の中から聞こえてくる小さな苦痛の声。昼間の墜落したときの怪我かチャイナとやりあったときの怪我だろうと思いつつ流した。






「……………女の風呂は長ェ」





30分。そいつはまだ姿を見せずにいた。
うとうととし始めたころ、脱衣所の暖簾からAが顔を出して。






『あの、ちょっといい？』


「遅ェ。何分風呂にかかってんでィ」


『ごめんなさい。それより、……ちょっと』







ぐいっと腕を引っ張られ、脱衣所の中へと。





「テメェ……、よくもまァ男の前でそんな姿してられんなァ」


『慣れてるから』


「慣れてる？」


『…………兄に裸なんて何度も晒してるわ』







Aはタオル一枚を体に巻いているだけだった。奴の顔を見ながら言えばジト目で「それに着替えようにも…」と言葉を濁し。






「俺の浴衣着ろつっただろ」


『だからそれはわかってるの。
ーーーただ、着方わからなくて』






俺の浴衣を目の前に出してそう言ってくるAに「まさか俺に着させろと？」とヒクヒク口の端が痙攣する中言う。






『あなた以外に誰がいると？』


「…………テメェ、少しは危機感ってのをなァ……」

『ちょっと待って……』







彼女は、長ったらしい髪の毛を上で括るためくるっと俺に背を向けた。ゴムを取り、上の方で簡単に一つにくくる。



真っ白な首筋があらわになり、まだ少し水分の残った肌がピンク色になっていた。



スルッと下に下がるタオル。そのタオルの下から覗くのは。






.








ーーー痛々しいほどの赤だった。







.

歪24→←歪22

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す