君に会えない日【神威】

39＊恋 神威side ページ40

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目の前にいる彼女をじっと見つめる。




最近では、俺の前で本来の自分を少しずつ出すようになってきた彼女だが。まだどこか女将にも俺にも自分を見せない。



彼女の笑った顔も喜んだ顔も見てみたいーーー…そう思って。





『…………明日も来るヨ』


『………はい、待ってます』


『………………』





帰る頃になれば、最近ではもうお決まりとなった台詞を吐く。



今日の彼女は違う。
その言葉に何か意味があるようで。





────……離れるのが惜しい。

そう思えてしまう。






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『阿伏兎。明日も吉原いくから。仕事は頼んだよ』


『最近よく行くな。何かあンのか』


『…………別に』






阿伏兎の何か探ってくるような表情に、なにもないと答える。


吉原に、Aの見世に、いや、彼女に会いに行くのが日に日に俺の中で大きくなってきているのは確かなんだ。







『………………会いたい』


『あ？なんか言ったか。団長ォ』


『阿伏兎。俺は初めて女に会いたいって思えたよ。なんでだろうネ』


『そりゃァ団長、…………恋だな』







生まれてこのかた18年。
そんなものとは無縁の日々だった。





ーーー恋。


阿伏兎の言う通り、そうかもしれない。俺よりも何年も生きているこいつがそういうのならば。






『……………そうか。阿伏兎、俺わかったよ』


『なにを』


『地球人に、人間に恋をしたようだ俺は』


『はあ？！まじかよ団長ォ！』









あァ、と短い変事をする。



阿伏兎の部屋から見える外の景色。
今日は、月が欠けていて。
あれが三日月という形か。






『……………Aが欲しい』





月に手を伸ばし、ぎゅっと手を握りしめた。





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