21*冗談と本気と彼 ページ22
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『……お願い、阿伏兎さん。……神威に伝えて欲しいの』
『いいぜ。言ってみろ』
『……………会いたいっ、今すぐにでもあなたに会いたいって…っ。私はあなたに会えない日もずっと愛してるって……』
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先ほど泣いてしまい、未だ目尻に残る涙を拭き取り、襖を開ける。
「よォ」
「こんばんは、沖田さん」
今日も私を指名した沖田さん。
昨日新しく入ったという酒を女将さんから沖田さんに飲ませてあげてという頼まれごとを引き受けた。
なんで未成年に簡単に酒を提供するのかわからずにいるが、この吉原では法律などほとんど無視なのか。
「…………お前、泣いてたのか?」
「え?」
「目の下が真っ赤だぜィ」
「……これはちょっと…」
片手を顔の前でぶんぶん振り回す。
まさか目が赤くなってるだなんて思わなかった。
この人の前でだけは絶対弱っているところを見せたらいけない気がするんだ。
見せたら、そこでアウト。
沖田さんのことだから……。
「…………また、待ち人のことかィ」
「……………」
「泣いている時点でテメェは幸せでもなんでもねェよ。俺にしとけ」
「…………だから、泣いてませんって」
強がっていれば、手首を掴まれ引き寄せられる。
トンッと彼の胸の中に入り、固まる私。数秒たったのち、
「だからこういうことやめてくださいって言いましたよね」
「俺ァ、基本人の話聞かないんで」
「からかうのも大概にしてください。そんなんで沖田さんを選ぶことなんてありませんよ」
胸板を押して離れようとするけど、尚更抱きしめる力が強くなり当然一方。全然離れない。
不愉快になった私は、「私は、沖田さんにそんな気はないです」とはっきり言った。
「んじゃァ、その気にさせてやらァ」
「え?」
少し離れた距離。
ずんっと近くなる距離にこの前の出来事を思い出す。
「どうせ冗談でしょ。馬鹿にしないで」
「馬鹿はテメェでィ」
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「………んっ?!」
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夢叶 - 神威大好きなんで、この作品大好きです!なんか涙が……w (2017年6月3日 18時) (レス) id: bf1d0d2bf0 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 沖蘭さん» そうなんですか?!私は小さいころからアニメ好きでしたよ笑笑続編できたのでよろしくお願いします**アニメは最高です笑 (2017年3月11日 12時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - ひなのさん» コメントありがとうございます。続編できたのでよろしくお願いします** (2017年3月11日 12時) (レス) id: d3adf571e3 (このIDを非表示/違反報告)
沖蘭 - 美桜さん» 続編楽しみです!!私は1年程前に勧められたのですが、2次元に興味がなかったので、アニメの楽しさを知った今ハマってます笑笑 (2017年3月11日 2時) (レス) id: 63d7861522 (このIDを非表示/違反報告)
ひなの(プロフ) - 続編楽しみにしてます!これからも頑張ってくださいっ!! (2017年3月10日 21時) (レス) id: 81354238c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作成日時:2017年2月18日 10時