君に会えない日【神威】

18＊月 神威side ページ19

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彼女は、月がとても好きだった。




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出会ったときからAは、月が好きで。
いつでも見ていた。





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「…………やる気でないナ」


「出してもらわねェと俺が困るぜ団長」


「お前ならできるだろ、阿伏兎」


「そういう問題じゃねェだろ」






どこかのさっぱりどこかもわからない星。


阿伏兎の隣に屈んで下の方に見えるこの星の町。




ここの星の偉い人に会うとかなんとかだったか。







「………で。どうするの、ここで」


「この星に春雨の基地を一つ作るそうだ。その交渉とまあ観光ってモンだな」


「そ。なら、交渉は阿伏兎がやってよ。俺は観光してるから」


「お前さんも来てもらわねぇと困るぜ」


「交渉は阿伏兎のお手の物だろ」






じゃ、頼むよ。
そう言って片手を振って街の方へ降りていく。



この星は、いつも満月なのか。
月は昼から夜にかけてもずっと丸いまま。






Aが好みそうなところだ。






「おや、そこのお兄ちゃんや。
月を愛しそうに見つめて。月は好きかい？」


「俺じゃないけどネ。愛しい女が月を好んでいるのサ」


「そうかいそうかい」






路上に並ぶ出店。
そこの店主であろう老人が俺に話しかける。




その老人が営む店には、月のチャームがついたネックレスやピアス。

月をモチーフにしたものがたくさんあり。







「(Aが好きそうだな、……特にこれとか)」





一つ、手に取ったネックレス。


買ってしまったのは、ただの気まぐれか。




それとも、

彼女のことを想って買ったのか曖昧だった。






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