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こんなにも顔に出やすい奴だとは思わなかった。
キスをすりゃ真っ赤な顔で俺を見つめてくる。
Aの手に触れればふにふにとしていた。何度かふにふにと触り遊んでは手を繋ぐを繰り返していた。
「…………」
1週間と半分が経った時、病室に乗り込んできたのは見覚えのある男だった。それはAの父親だ。恐らく真一郎が連絡したのか、血相を変えてやってきた。
Aの手を握っていた俺を見て、そいつは俺の胸ぐらを掴むと「お前のせいだろ!!」と言う。何を今更父親面してんのか、意味がわからねぇ。
「てめぇらみてーな社会のゴミが!」
「…………離せ」
「娘にこんな大怪我させやがって!!」
「怪我させてた奴が言える言葉かよ」
ちょうどやってきた真一郎とエマ。
二人とも目を見開いていた。「娘は連れて帰る!!」と怒鳴るそいつを真一郎は「Aちゃんは望んでませんよ」と言い返していた。
「てめぇと会ってからAは変わっちまった!!今まで俺のそばにいたのに、てめぇがAを変わらせたんだろ!」
本当に人間なのか。Aはてめぇに昔のような優しい父親にもどってくれると信じて今までお前の元に帰っていた。死のうとしたのも、傷つき泣いていたのも誰がそうさせた?
怒鳴られたままじゃ天竺の総長の名が廃る。口を開けば、「…………やめてよ」と小さな声がその空間に溶け込んだ。
皆の視線が一箇所に集まる。
「…………それ以上、私の……大好きな人たちを傷つけたら、許さない」
「……………っ!」
天井に手をかざし「……イザナでしょ、ずっと私のそばにいてくれたのは」と横まで俺を見るA。彼女は「……手、握ってくれてた」「温かった」とぽつりぽつりとつぶやいていく。「……お父さんは今まで何をしていたの?」と向けた視線の先の親父はカッと顔色を変えた。
Aの親父が出ていった後、真一郎がすぐにナースコールを押した。エマが泣いて喜び、真一郎も喜んでいる中、Aが「おはよう、イザナ」とにこりと笑う。
「ぎゅーって抱きしめて」
横になるAに近づいて、そのまま抱きしめる。
「遅ぇよ」といえば、Aが「寝過ぎちゃった」と笑っていた。
「……暖かい。……大好き」
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頭ン中お花畑(プロフ) - とっても甘々で最高でした。ニマニマが止まらないし、本当に胸がキュンキュンするーっ! 最高のイザナ夢をありがとうございました。寿命が伸びた気がします (1月7日 23時) (レス) id: 67d18bea8c (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - 天竺編10月始まる楽しみ今からイザナ見るの待ちきれらない (6月21日 0時) (レス) id: 67f766a775 (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - イザナの名言天竺編で見れるの楽しみです。 (6月12日 1時) (レス) id: 67f766a775 (このIDを非表示/違反報告)
桜華 - ↓ごめんなさい 間違えました (5月15日 22時) (レス) id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
桜華 - あ (5月15日 22時) (レス) id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時:2022年11月13日 16時