01 ページ1
*
「イザナ」
鈴を転がしたような澄んだ声が耳を吹き抜ける。
御影Aは俺より年齢の一つ下の女だった。鶴蝶が施設に入った二年後ぐらいにAも施設に入ってきた。初めは泣いてばかりいたAだったが、俺や鶴蝶と一緒にいるようになってからは口うるさいほど笑っていた。
そんなAも12の時に、実の父親に引き取られ、もう会うことはないと思っていた。しかし、再会したのは夜の治安の悪い街。
髪を染めていて、ピアスを開けているAは昔とは全く違う容姿だった。だから初めは彼女だとは気づかなかった。向こうも他人のフリをしようとしていたらしいが、鶴蝶がすぐに気づき、彼女の腕をとった。
「久しぶり。二人とも変わんないね」
「お前何してんだこんなところで」
「何って、遊んでただけだけど」
あの頃のようには笑わない。
露出の多い服装に短いスカート。濃いめの化粧をしているAに、他の男が話しかけていた。わざとらしくその腰に触れて引き寄せられている。
これが本当のAだったのか、それとも環境がそうさせてしまったのかはわからねぇけど。
「…………汚ねぇな」
男の首根っこを掴んでAから引き剥がす。
そのまま後ろへと投げて、Aの手を掴んだ。離してよ、と手を上下に揺さぶって離れさせようとするが女の力なんて糞以下だ。
「A、お前あの親父に引き取られて幸せかよ」
「……は」
「鶴蝶が前に一度お前のこと見かけた」
その時、鶴蝶が言っていた。"傷だらけ"だったと。見かけただけで鶴蝶は話しかけることができなかった。そのことを聞いた時ボコったから今回は、Aを見つけるとすぐに手を取ったんだろう。
「ついてこい」
「は、ちょ、イザナ……！」
有無は言わせない。
嫌がるAをそのまま俺の家まで連れて行った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 461人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
頭ン中お花畑(プロフ) - とっても甘々で最高でした。ニマニマが止まらないし、本当に胸がキュンキュンするーっ！ 最高のイザナ夢をありがとうございました。寿命が伸びた気がします (1月7日 23時) (
レス) id: 67d18bea8c (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - 天竺編10月始まる楽しみ今からイザナ見るの待ちきれらない (6月21日 0時) (レス) id: 67f766a775 (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - イザナの名言天竺編で見れるの楽しみです。 (6月12日 1時) (レス) id: 67f766a775 (このIDを非表示/違反報告)
桜華 - ↓ごめんなさい 間違えました (5月15日 22時) (レス) id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
桜華 - あ (5月15日 22時) (レス) id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：美桜
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ririsa10713/
作成日時：2022年11月13日 16時
