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ーーー夏。
エアコンから噴き出る冷たい風。窓から入る日差しが熱い。ノースリーブから見える細い腕は日焼けを知らないのか真っ白だ。高めの位置でまとめられた髪で、晒されたうなじ。そしてそこを流れる汗。
「(…………くそッ、集中できねぇ)」
「コラ場地くん!ちゃんと集中して!」
誰のせいだよ、ギッと睨みつければ「睨んだって怖くないぞ!」と俺の背中を叩いた。人の気も知らねぇでヘラヘラと。
「………場地くん、休憩しよっか?」
「……は?キュウケイ??」
顔にかかる横髪を耳にかけたAが上目遣いとやらで俺に持ちかけた。受験も本番、そんな中、キュウケイ?キュウケイって何だ?
「あ、マイキーくんからだ」
「あ"?!マイキー?!」
「驚きすぎじゃない?」
こんな俺を見てAは、ふふっと可愛く笑う。マイキーからのメールに首を傾げている。そして俺を見て「どういう意味?」とメールの内容を見せてくる。
【場地に中3の最後の夏、頑張れよ♡って伝えて】
一昨日マイキーに「夏場のAがえろい」なんて話をしていた。絶対ぇにそのことからかってきてる内容だ。くそ、アイツ夕方シメに行ってやる。
………っくそ、男を見せるんだろ俺。覚悟決めろや。
「Aっ!!」
「え、なに急に、……うわっ!!」
ゴツンッと大きな音がする。
畳の上に押し倒したAが目を見開いて、次の瞬間涙を溜めた。やべ、やっちまったと思いきや、Aが大きな声を上げて泣き出した。
「痛い!!!いきなり押すからベッドに頭ぶつけたじゃん!!最低!!場地くんの馬鹿!阿保!」
「わ、悪ぃ、そういうつもりじゃ、」
「場地くんただでさえ力強いのに、勢いつけて押すとかありえない!!大嫌い!!帰る!!!」
「あ、おい、A!!」
頭に出来たコブを押さえながらAは帰って行った。完全にやり方間違った。携帯を手に取って、千冬に連絡しようにもアイツ今日はばーちゃん家に行くって言ってたのを思い出す。
「…………ドラケン、今いいか?」
「おう、どうした場地」
「Aに嫌われた」
「は?」
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ゆっち - 場地くんが可愛すぎて萌え死にしそうでした笑ステキな作品をありがとうございました! (9月12日 19時) (レス) @page50 id: 2cfaef044b (このIDを非表示/違反報告)
ココア(プロフ) - 大満足作品です♡ (2021年12月23日 22時) (レス) @page49 id: 9458e1a5bb (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!美桜様の作品は不死川さんのお話からずっと見てます^_^次の竜胆のお話も楽しみです! (2021年12月23日 21時) (レス) @page50 id: 5a0c9ff92a (このIDを非表示/違反報告)
ちびすけ(プロフ) - すごい面白かったですー!!!すてきな作品ありがとうございました!完結おめでとうございます^^新作も楽しみにしてます! (2021年12月23日 20時) (レス) @page50 id: 7cbe1392b9 (このIDを非表示/違反報告)
桜桜もっけ(プロフ) - めっちゃ好き。 めっちゃ可愛いです! もう、みんな可愛いです。 (2021年12月19日 11時) (レス) @page31 id: 5af1a4c2fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美桜 | 作成日時:2021年12月11日 17時