モデルとデザイナー【三ツ谷隆】

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Aは久しぶりの学校に大はしゃぎだった。
底抜けに明るいAは、学校でも人気がある。けれど、モデルとして活躍している彼女を妬む人間も中にはいた。



「…………お前、上履きどうした」

「……………。そういえばこの前持って帰ったの忘れてた」



あはは！と笑いながら足を伸ばして足先を見せる。外来用の茶色のスリッパを履くA。少し黙り込んだAは「今日手芸部行こうかな」と呟いた。


手芸部の部員は皆、Aが大好きだった。
文化祭では服の製作のモデルに喜んでなってくれているし、何よりも俺の幼馴染という関係性が大きい。



「隆、私は負けない」

「何に？」

「………いろんなこと」



多分きっと俺が言っていいことではない。

机の上を見ていたAは顔を上げて、とある女子グループを見つめた。あぁ、あいつらか。普段から目立つ女子グループだし、あんまいいイメージはない。
変な噂をよく手芸部の女子たちがしてるから大体は知ってる。



「ここで泣いてたら、もっと上に立つことなんて出来ないからね」

「おう」



手を伸ばしてその頭を撫でた。
嬉しそうに笑うAに「俺はお前の味方だ」と伝えれば、抱きついてくる。俺の気も知らねぇで純粋にも。


放課後になり一緒に家庭科室へと行く。忘れ物に気づいたフリをして、先にAに行っているように伝えて教室へと戻った。Aの席を囲む何人かの女子。



「お前らダッセェな」

「………ッ、」



その女子の手にあるAのヘアピン。俺がアイツの誕生日にあげたものだった。取り上げて「悪ぃけど、これ俺が小1の時にやったやつだから返してくんね？」と教室を出ていった。


小学生の時、その辺で買った安物のヘアピンをアイツは今でも大切にして時々つけてくれている。今日帰る時に「ない！」と嘆いていたがやっぱりな。



「おーい、A。これ落ちてたぞ」

「え！嘘？！隆ありがとう！」



お前には笑っていて貰わないと困るんだよ。



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